平田オリザが主宰する青年団は平田以外にも多くの劇作家・演出家が所属しており、自由に公演企画を提出することができ、審査に通った作品が「若手自主企画」として上演される。そこで観客から一定の評価を得ると「青年団リンク」としてユニット化され、やがて劇団として独立していく。
ホエイは俳優の河村竜也がプロデューサーを務め、山田百次が作・演出を手掛ける、2013年に若手自主企画として立ち上がったユニット。
今回はその第1作である『珈琲法要』を再演する。
物語は文化4年、西暦1807年に北海道の斜里地方で起こった津軽藩士殉難事件を題材としたもの。ロシア帝国の襲撃に対する警護のため斜里に送られた津軽藩の藩士たちだったが、東北とは比べ物にならない寒さに多くの者が命を落とす。この事件は藩の恥部として闇に葬られていたのだが、約150年後に生存者が残していた日記が発見され明らかになった。この日記をもとに藩士たちの無念の闘いをアイヌの調べにのせて、全編津軽弁で描く。
津軽弁に一部分からない部分があるかもしれないが、命を落とした者たちの無念さは十分伝わってくる。そして現在の日本の状況と照らし合わせると、事の重大さが身近な問題として認識できるかもしれない。