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ART | TOKYO HEADLINE - Part 8
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感じてみよう“美術のちから”「ブルーノ・ムナーリ — 役に立たない機械をつくった男」

2018.11.17 Vol.712

 20世紀イタリアを代表する美術家ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)の作品約300点がそろう、日本初の本格的な回顧展。絵画、彫刻、グラフィック・デザイン、インダストリアル・デザイン、絵本、著述、さらには子どものための造形教育にも力を注いだ、多岐にわたる彼の活動を9つのパートに分けて紹介。初期の絵画や代表的オブジェ《役に立たない機会》を展示するプロローグに始まり、うち7つのパートは、ムナーリが1985年に東京のこどもの城で行った、子供のためのワークショップにヒントを得て、テーマを設定している。エピローグでは、ムナーリが開発した遊具を実際に手に取って遊ぶことができるコーナーとなっている。

 色彩と触覚だけで物語を想像する、文字の無い絵本《読めない本の試作》や、縞のある石に自転車を描き、白い縞を道に見立てた《みたての石》など、彼のアートはごくシンプルな発想から生まれ、大人も子供も誰もが親しみながら、想像力をかき立てられるものとなっている。

 また会期中は国際的に活躍するイタリア人振付家・演出家のルカ・ヴェジェッティがムナーリに捧げるパフォーマンスなどイベントも実施。

アートで気持ちもカラフルに!「写真展「木村伊兵衛 パリ残像」」

2018.10.25 Vol.711

 戦前そして戦後の日本を代表する写真家・木村伊兵衛。彼が1950年代のパリで写し撮った、人と街の表情を通して、当時のパリの魅力に触れる写真展。

 戦後間もない日本では海外渡航がきわめて難しく、芸術の都パリは遠い遙かな夢の世界だった。1954年、初めて念願のヨーロッパ取材が叶った木村伊兵衛は、ライカのカメラと開発されたばかりの国産カラーフィルムを手に渡仏。そこで写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーと出会い、生きたパリの街並みと下町の庶民のドラマを目の当たりにした。本展では「パリの街角」「素顔のパリっ子」「安らぐパリ」「華やぐパリ」の4つの構成でカラー作品131点を展示する。

 念願のパリに渡った木村の視点はもちろん、木村作品のなかでは珍しいカラー表現の知られざる魅力、そして現代では失われた50年代半ばのパリの街角の光景も、興味深い。

 モノクロのリアリズムで昭和の日本をとらえてきた木村伊兵衛。そのイメージを新たにしつつ、パリを舞台に日常を切り取る視点の見事さを改めて感じることができる。

アートで気持ちもカラフルに!「しあわせのスカーフ展 at 奥神楽坂」

2018.10.13 Vol.711

「神楽坂まち飛びフェスタ2018(10月13日〜11月3日)」の参加イベントとして行われるKen’S GALLERYのオープニング企画展。現代アート・彫刻・絵本・イラスト・写真・グラフィック・タイポグラフィーなど、 全国で活躍するいろいろなジャンルの作家たちが、1メートル×1メートル角のスカーフをキャンバスに見立て、思い思いのメッセージを最新のインクジェット・テキスタイルプリントのスタイルで表現。作家たちそれぞれの個性にあふれた“しあわせのハンカチ”ならぬ“しあわせのスカーフ”を展示する。出展作家は伊野孝行(イラスト)、小川航司(グラフィック・イラスト)、田代卓(グラフィック・イラスト)、田村映二(立体アート・イラスト)、U.G.サトー(グラフィック・イラスト)ら。

 他にも「神楽坂まち飛びフェスタ2018」では伝統芸能をはじめ、ダンス、音楽、アート展示、体験・催事など約70のイベントが神楽坂各所で随時開催。最終日となるフェスタのハイライト「坂にお絵描き」では、神楽坂通りの坂上から坂下まで全長700メートルにロール紙を敷き、道行く人々が自由に“お絵描き”を楽しむことができる。

おすすめ美術展「ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 」

2018.06.14 Vol.707

「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ−(1898-1972)の生誕120年を記念し、その魅力に迫る展覧会。世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点が日本初公開される。

 オランダで生まれたエッシャーは当初、建築を学んでいたが、版画家のメスキータと出会い版画制作に夢中となった。オランダ国外を旅しながら多くの作品を残している。

 コンピュータのない時代に「版画」で作られた緻密かつ独創的で“ミラクル”な作品は、アートの分野はもちろん数学者や建築家といった幅広いクリエイターに刺激を与えてきた。本展では「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の8つの観点からエッシャーの作品に迫る。

 建築不可能な構造物を描いた『滝』『相対性』などエッシャーといえば思い浮かぶ有名な作品はもちろん、エッシャーの代表的な構図の原点ともいえる『メタモルフォーゼ』シリーズも展示。なかでもエッシャー自身による貴重な初版プリントの大作『メタモルフォーゼⅡ』は見逃せない目玉作品。

 奇想版画家のミラクルな世界を楽しんで。

生誕120年 イスラエル博物館所蔵 
ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵

【期間・会場】上野の森美術館 開催中〜7月29日(日)
【時間】10〜17時(金曜は20時まで)入館は閉館の30分前まで
【休】会期中無休
【料金】一般1600円、大高生1200円、中小生600円
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル 8〜22時)
【交通】JR上野駅 公園口より徒歩3分
【URL】http://www.escher.jp/

色とりどりに、自分らしく『理由なき反抗 I LOVE ART 14』

2018.05.01 Vol.705

 情報は操作され、得体の知れない都合や無理ある理由付けが、社会に不自由をもたらしている今。不条理で不安な状況と対峙し、不自由と闘うためにどれほどの“理由”が必要だろうか…?

 本展では「第1章 レジスタンス[抵抗]」「第2章 デザイン革命」「第3章 理由なき反抗」の3つの構成で、自由を目指し闘い続けるアートにフィーチャー。ワタリウム美術館のコレクションを中心に、15人の作家、約100点の作品を展示する。

 本展のタイトルにもなっている、アンディ・ウォーホルが同名映画の日本版広告ポスターをモチーフに制作した作品『理由なき反抗(ジェームズ・ディーン)』や、天安門事件を機に中国からパリへ移住した作家ホワン・ヨンピンが1992年に開催した同館企画展「レジスタンス」展のために制作した、本物の鋼の包丁を使った作品『避難はしご』、他にもキース・へリングやロバート・メイプルソープらの作品を展示する。

 国や時代、ジャンルはさまざまだが、共通しているのは、何者にも屈しない自由への心。慣習や体制、権力、そのほかのさまざまな困難な状況に抗い、闘ってきたアーティストたちが生み出した作品から得られるものは大きいはず。

理由なき反抗 I LOVE ART 14
【会場・会期】ワタリウム美術館 開催中〜7月29日(日)
【時間】11〜19時(水曜は21時まで延長)
【休】月(4/30、7/16は開館)【料金】大人1000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円【問い合わせ】03-3402-3001
【交通】地下鉄 銀座線 外苑前駅より徒歩8分
【URL】http://www.watarium.co.jp/

その輝きに、魅了されて…「日本スペイン外交関係樹立150周年記念 プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」

2018.03.27 Vol.704

 巨匠ベラスケスの傑作7点に日本で会える、注目の展覧会。

 17世紀スペインを代表する画家であり、西洋美術史上最も傑出した才能の一人、ディエゴ・ベラスケス。マネやピカソなど後世の芸術家たちにも大きな影響を与えた存在として、ヨーロッパ絵画の中でも特に重要な位置づけがなされる画家だ。そのベラスケス作品の約4割を所蔵しているのが、スペインのプラド美術館。本展では通常、貸し出しの機会が限られているベラスケスの作品を、日本で開催される展覧会では過去最大の7点、それも重要な作品ばかりを厳選して出品。ヨーロッパ美術を語るうえでも欠かせないベラスケスの傑作7点を日本にいながらにして、一度に鑑賞できるまたとない機会となる。

 会場ではベラスケスをはじめ、ルーベンス、ムリーリョ、スルバランといった17世紀黄金時代の名画の数々も展示。歴代スペイン国王の庇護の下、栄光の時代を築いた17世紀スペインのアートシーンの輝きを堪能できる。

日本スペイン外交関係樹立150周年記念
プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光

【会場・開催期間】国立西洋美術館 開催中〜5月27日(日)
【時間】9時30分〜17時30分(金土は20時まで。入館は閉館の30分前まで)
【休】月曜(3/26と4/30は開館)
【料金】一般1600円、大学生1200円、高校生800円
【問い合わせ】03-5770-8600(ハローダイヤル)
【交通】JR上野駅下車(公園口)徒歩1分
【URL】http://prado2018.yomiuri.co.jp/prado2018/

見えないものも見えてくる…?「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」

2017.12.28 Vol.701

 日本の金沢21世紀美術館に恒久設置された《スイミング・プール》の作家としても知られるレアンドロ・エルリッヒの大規模個展が森美術館で開催中。

 現代アートというと難解な印象を持つ人も少なくないが、エルリッヒ作品は思わず好奇心が刺激される“仕掛け”が見どころの一つ。室内にいる人がまるで水中にいるかのように見える《スイミング・プール》に代表されるように視覚的な錯覚を用いたりして、見る者の常識をふいに揺さぶりをかけてくる。一見どこにでもある見慣れた風景と思いきや、水がないのに舟が浮かんでいたり、人々がさまざまなポーズで壁に張り付いていたり。

 しかも本展では写真撮影が可能。“なんかヘン!”な光景に自分が入り込み写真に撮って楽しむこともできる。

 今まで意識しなかった視点を気軽に楽しむうちに、エルリッヒの作品が持つメッセージ性にも気づくはず。常識や習慣から解き放たれた視点で、エルリッヒのメッセージを自分なりに考えてみて。

レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
森美術館 開催中〜2018年4月1日(日)

【時間】10〜22時(火曜は17時まで。入館は閉館の30分前まで)【休】会期中無休【料金】一般1800円、学生(高校・大学生)1200円、子供(4歳〜中学生)600円、シニア(65歳以上)1500円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄 六本木駅直結。六本木ヒルズ森タワー53階【URL】http://www.mori.art.museum/jp/

見えないものも見えてくる…?「坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME」

2017.12.25 Vol.701

 近年、アートの分野での活動も注目を集めている坂本龍一。美術展や芸術祭への参加など、これまでの自身の音楽を発表する場とは異なる状況で、展示作品としてのインスタレーション作品を発表し、高く評価されている。音楽活動のみならず社会活動にも重点を置いており、その活動は、音楽や社会そして自然や根源的な生の思索へと向かっている。

 昨年、8年ぶりに発表したアルバム『async』は、坂本にとっての新境地であるだけではなく、その音楽自体これまでにない新たな聴取体験をもたらすものとなった。『async』はCDやレコードといったフォーマットで発表された後に、5.1チャンネルオーディオと3組のアーティストによる映像とのコラボレーションによって展示空間に設置され「設置音楽」という形で、提示されたことも話題を呼んだ。

 本展では、ワタリウム美術館で行った「設置音楽」シリーズ第2弾として新作を加え新たな展開を見せる。本展で披露される《IS YOUR TIME》は坂本と、アーティスト・グループのダムタイプ、ソロ・アーティストとしても世界的に活躍する高谷史郎によって、今回の展覧会のために制作された新作インスタレーション。

坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME
NTTインターコミュニケーション・センター [ICC] ギャラリーA 開催中〜2018年3月11日(日)

【時間】11〜18時(入館は閉館の30分前まで)【休】月曜(月曜が祝日の場合は翌日。2/12は休館。2/13は開館)、年末年始(12/28-1/4)、保守点検日(2/11)【料金】一般・大学生 500円、高校生以下無料【問い合わせ】0120-144199(フリーダイヤル)【交通】京王新線初台駅東口から徒歩2分。東京オペラシティタワー4階【URL】http://www.ntticc.or.jp/

アーティストの競演が新たなアートを生み出す「リボーンアート・フェスティバル 東京展 そこで何が起きていたのか?」

2017.11.22 Vol.700

 今年の7月22日から9月10日まで、宮城県石巻市・牡鹿半島を中心に開催された東北初のアート、音楽、食の総合芸術祭〈リボーンアート・フェスティバル2017〉。国内外の多彩な現代アーティストが参加し、現地でも好評を博した同イベントから、石巻市・牡鹿半島での展示を再構成してワタリウムで展示する。

 2011年3月11日の東日本大震災から6年。海岸に高さ約6メートルもの巨大な防潮堤が建設されている牡鹿半島。甚大な被害を受け新しく生まれ変わろうとするこの地で、アーティストたちは何を見、どんな思いを作品に託したのか。石巻の市街地や牡鹿半島の豊かな自然の中で繰り広げられたさまざまなアートの試みは、どんな光景を生み出していたのか。本展では、その光景を追体験することができる。

 本展では、宮永愛、名和晃平、青木陵子+伊藤存、カールステン・ニコライらの作品展示と、チン↑ポム、JR、増田セバスチャンらのドキュメントを展示。計31組のアーティストの作品が集う。

 また、会期中は関連イベントとして食事会やお茶会など、総合芸術祭ならではのイベントも実施(要予約。詳細は公式サイトにて)。
 現地に行けなかった人も、展示を通して“復興の今”を見つめてみては。

“日本にハマった”西洋絵画の巨匠たち「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」

2017.10.24 Vol.699

 西洋絵画の巨匠フィンセント・ファン・ゴッホと日本とのつながりに注目し、2部構成でその相互関係を探る展覧会。ファン・ゴッホ美術館との本格的国際共同プロジェクトとして開催されるのは日本で初めてのこと。

 黒船来航の1853年に生まれたファン・ゴッホ。開国した日本からは大量の美術品が外国に出ていくことになるが、鎖国中も日本と交易のあったオランダで生まれ育った彼にとって、日本美術はまったく縁遠いものではなかったとみられるが、ファン・ゴッホが日本や日本美術に強い関心を持つようになったのは1886年にパリに出てきてからのこと。

 本展は「第1部 ファン・ゴッホのジャポニスム」「第2部 日本人のファン・ゴッホ巡礼」の二部で構成。第1部では、国内外のコレクションから厳選したファン・ゴッホ作品約40点と、同時代の画家の作品や浮世絵など約50点で、彼が日本からどんな影響を受けどんなイメージを抱いていたのかを多角的に検証。第2部では最初期における日本人のファン・ゴッホ巡礼を、ガシェ家の芳名録に基づいた約80点の豊富な資料によってたどる。当時からファン・ゴッホに魅了されていた日本人の姿に思いをはせることができる。

“日本にハマった”西洋絵画の巨匠たち「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」

2017.10.19 Vol.699

 江戸時代後期の代表的浮世絵師・葛飾北斎(1760-1849)を切り口に、19世紀後半に日本美術が西洋に巻き起こした“ジャポニスム”という現象を読み解く、世界で初めての展覧会。

 狂歌本や読本挿絵、『北斎漫画』に代表される絵手本などの版本、錦絵版画、肉筆画など多くの作品を残し、特に「冨嶽三十六景」は浮世絵における風景画のジャンルを確立させた代表傑作として知られる。

 今なお日本のみならず海外にも愛好家を持ち、世界中のアーティストにインスピレーションを与えている北斎。本展では、北斎をはじめとする日本美術の影響を見て取れる、西洋芸術の優れた作品を一挙紹介。国内外の美術館や個人コレクターが所蔵するモネ、ドガ、セザンヌ、ゴーガンをはじめ西洋芸術の名作約220点と、北斎の錦絵約40点、版本約70冊の計約110点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)が集結。

 異文化との出会いで花開いた西洋美術の傑作と、そのひらめきを生んだ原点の魅力を見比べながら楽しむこともできる、またとない機会だ。

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