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MONO | TOKYO HEADLINE
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結局、“不要不急”が一番大事だった! いま聴きたい音楽

2021.03.17 Vol.739

「evergreen 2」秦基博

 シンガーソングライターの秦基博の弾き語りベストアルバム第2弾をリリース。前作からは7年の月日を経て届けられる本作はCD2枚に、現在放送中のNHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の主題歌「泣き笑いのエピソード」「Tell me,Tell me」など新たにスタジオレコーディングした全21曲を収録。Disc2はリクエストから選曲しており、「さよならくちびる」「新しい歌」などファンなら弾き語りで聴いてみたいと思っていた楽曲が並ぶ。秦の優しくて温もりのある歌声が新しい一歩を踏み出す手助けをしてくれる。

江戸時代でフレンズ? MONO『アユタヤ』

2021.02.23 Vol.738

 京都を拠点に活動するMONOの1年ぶりの本公演。前回公演の『その鉄塔に男たちはいるという+』は昨年3月、新型コロナウイルスの感染拡大が始まりかけたころに上演された。さまざまな情報が飛び交い、手探りの中、なんとか公演をやり遂げた。

 主宰の土田は「今回のことで自身の価値観も揺さぶられ、現在は皆が前を向けるエンターテインメントを創りたいという猛烈な思いにかられている」として、コロナの猛威が収まらない中ではあるが、今回の作品を作り上げた。

 舞台は江戸時代の初期にタイにあった日本人居留区の外れ。その居住区にはさまざまな理由から祖国を離れ暮らす人々がいたのだが、そこからも逃れて肩を寄せ合う人たちがいた。そんな人々の生活を通じて描かれるのは“MONOなり”のユートピア喜劇。土田は「タイを舞台にした江戸時代の日本人たちの『フレンズ』(1994~2004年放送のアメリカのドラマ)みたいな話にしたい」という。江戸時代でフレンズ? 果たしてどんな作品になるのか?

どんな「笑って泣けるコント」を見せてくれるのか「MONO 特別企画vol.7『涙目コント』」

2019.07.30 Vol.720

 劇作家・演出家で俳優としても活躍する土田英生が代表を務めるMONOが今年結成30周年を迎えた。その記念企画の第2弾として行われるのがこの『涙目コント』。

 字面でなんとなく伝わるかと思うのだが、目指すところは笑えるだけではなくオチを聞いて涙目になる「笑って泣けるコント」。これまで土田が大切にしてきた「アンサンブル」と「物語」をベースとした新たな挑戦となる。

 本作にあたり、他の劇作家からの脚本の提供を受ける。

 イキウメの前川知大からは2006年に初演された『ゴッド・セーブ・ザ・クイーン』を提供してもらい、iakuの横山拓也、オイスターズの平塚直隆の2人には『ゴッド——』と同じ「屋上」を舞台にした新作を書き下ろしてもらった。そして土田も同様の設定で新作を書き、この4作品を緩やかな一つのストーリーに仕上げるという、ただのコント集には終わらない作りとなっている。

 ちなみに前川の『ゴッド・セーブ・ザ・クイーン』は投身自殺寸前の女とその前に現れた2人の謎の男によるストーリー。死を目前にしながら軽妙な会話劇が繰り広げられる。

 果たしてこの物語をベースにどんな「笑って泣けるコント」を見せてくれるのか。

いろいろな意味で贅沢な作品『隣の芝生も。』MONO

2018.03.13 Vol.704

 MONOは1989年に立命館大学の学生劇団のOBを中心に結成され、現在の男5人のメンバーで随分と長いことやってきた。この5人の舞台上のアンサンブルは長年一緒にやってきた者同士でしかできないもので、常に高いクオリティーの作品を生み出すおおもとでもあった。しかしそれだけを続けていれば、ともすれば“マンネリ”に陥ってしまう可能性もある。ということで作・演出の土田英生はここ数年、劇団の本公演とは別の企画で若い俳優たちと創作活動を繰り返し、その中から何人かは本公演でも起用したりということをしてきた。

 今回は劇団メンバーの5人に加え、2017年に上演されたMONO特別企画『怠惰なマネキン』に出演した若い5人の俳優が出演。古い雑居ビルの隣同士の2つの部屋を舞台に前半はベテラン組と若手組の2つのシチュエーションが別々に展開。後半は交わることのないと思われた2つの物語がいつしか交差し絡み合って、クライマックスに突入していく。

 いわば、2つの物語とそれがひとつになったもう一つの物語という3つの物語が楽しめ、またベテラン組と若手組のコントラストも興味深い。いろいろな意味で贅沢な作品となっている。

MONO『隣の芝生も。』
【日時】3月15日(木)〜21日(水・祝)(開演は木金月火19時、土14時/19時、日水14時。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】座・高円寺1(高円寺)
【料金】指定席 一般4200円、ペアチケット 7600円(前売のみ。座席指定引換券。2名分の料金)、U-25(対象25歳以下)2000円(前売のみ。入場時証明書を確認)/初日割引(15日)一般 3700円、ペアチケット6600円
【問い合わせ】キューカンバー(TEL:075-525-2195[HP] http://www.c-mono.com/ )
【作・演出】土田英生
【出演】水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生/石丸奈菜美、大村わたる、高橋明日香、立川茜、渡辺啓太

巧みな脚本と物語の裏に隠されたテーマが実は結構ヘビー? MONO『ハテノウタ』

2017.03.12 Vol.686

 MONOの作品を一言で言うと、現実にはあり得ない非日常の設定の中で繰り広げられる、軽妙かつ絶妙な会話劇といったところか。

 作・演出の土田英生の描く台詞とそのやり取りは、どのような設定においてもニヤリとさせられ、クセになる。そしてその作品を熟知したメンバーたちが具現化した舞台はMONO“ならでは”としか言いようのない、とても中毒性の高いものになっている。

 今回はボーカリストの浦嶋りんこをゲストに呼ぶなど、これまでの会話劇に音楽劇の要素をプラスした新境地ともいえる作品。

 ある薬の普及で100歳間近になっても若いままの人々がいた。服用の度合いによって老け方が違うため見た目はバラバラなのだが、みな同じ年というなんとも不可思議な風景。みんなは集まって歌い、そして懐かしい思い出話で盛り上がる。しかし未来のことを語る奴はいない。それはみな今年中に死ななければいけない運命にあるからだった…。

「死を前にした元気な人間」「元気なのに未来を考えられない」??この大いなる矛盾が生み出すシチュエーションはおかしいことはおかしいのだが、むしろほろっとさせられる。

 作品中にちょっとした社会問題を潜ませるのが土田のやり方だけに、今回もいろいろ考えさせられそうな予感。

MONO『裸に勾玉』さまざまな形でなされる問題提起に気づく感性が大事

2016.02.08 Vol.660

 MONOの作品は、現実にありそうな設定や普通にいそうな登場人物のキャラをちょっとひねってみたり、何かを加えることで、ありそうでなさそうな世界観を作り上げ、そこで物語が展開される。そのずれた設定のお陰で、そこで繰り広げられるおかしな会話はそのままおかしく、深刻なエピソードも「まあ、架空の世界のお話だから」とそれほど気を滅入らせることなく観客に受け入れさせる。

 作・演出の土田英生が今回選んだ舞台は弥生時代。卑弥呼が死亡する少し前、狗奴の国と邪馬台国が交戦状態になるころ。ある集落の外れに身分も低く頭も悪い三兄弟を中心とした家族が住んでいた。さしたる問題もなく楽しく暮らしていたその集落に、ある日、追っ手から逃げてきた不思議な男が紛れ込んできた。それを機に平穏な生活に波風が立ち、やがて集落の人々は“ある選択”を迫られることになるのだが…。

 あえて弥生時代という現代とは大きくかけ離れた設定にすることで、個々のエピソードのリアリティーが増し、本質があぶり出される。さりげない会話の中に挟まれる疑問や問題提起に気づくともっともっと面白い作品。

MONO『裸に勾玉』
【日時】3月5日(土)〜13日(日)(開演は5・7・9・11日19時30分、6・10・12・13日14時。8日休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】シアタートラム(三軒茶屋)
【料金】指定席 一般 前売4000円、当日4500円/早期観劇割引(5〜7日)前売3500円、当日4000円/U-25(25歳以下・要証明書提示。前売のみ)2000円
【問い合わせ】キューカンバー(TEL:075-525-2195 [HP] http://www.c-mono.com/ )
【作・演出】土田英生
【出演】水沼健、奥村泰彦、尾方宣久、金替康博、土田英生、山本麻貴、もたい陽子、高橋明日香、松原由希子

会話劇の妙を楽しめる作品 Cucumber+三鷹市芸術文化センター presents 土田英生セレクション vol.3『算段兄弟』

2015.07.13 Vol.646

「土田英生セレクション」というのは、普段はMONOで創作活動を行っている劇作家・演出家の土田英生が、自作を自身が望む俳優たちと創作するために2010年に立ち上げた企画。

 絶妙なチームワークの上で作られるMONOの作品が求心的で凝縮的であるとするなら、こちらは拡散的で遠心的。前のめりに見ていたものを、背もたれに背をつけて見てみると全然違うものが見えてきた、という感じ。

 3回目となる今回は1999年に『近松ゴシップ』というタイトルで初演されたものを大幅にリメイクした。

 自由奔放に結婚と離婚を繰り返した父を持つ5人の兄弟姉妹。彼らはみな母親が違っていた。父は死期を迎え、5人を呼び寄せる。怒り、遺産への期待、初めて会う「家族」への複雑な感情に戸惑いながらも探り合う5人だった。そして1年後、一周忌法要に再び集まった彼らは、自分たちに流れる「血」の底知れなさに直面することとなるのだった。

「家族」という最小の共同体が壊れて久しい現代日本に送る、おかしくて切なくて、ちょっと怖い「家族ごっこ」の物語。
「血縁」ってなに?とか「家族」ってなに?とか、ちょっと考えさせられるかも。

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