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MOTTAINAI | TOKYO HEADLINE
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小池百合子のMOTTAINAI「日本を元気に、そして幸せにする街コン・婚活議連」

2014.05.11 Vol.617

 国会議員は、国会の各種委員会、所属政党における役職や部会での活動、テーマごとに集う議員連盟の活動など様々あります。

 私の場合、国会では衆議院予算委員、党務として広報本部長を務めています。これらが公式の部活動とすれば、議員連盟、略して議連は同好会のような位置づけでしょうか。

 議連は党内だけのもの、超党派によるものなど、山ほどあります。司法書士や行政書士など、業界別の応援団としての議連、世界各国との友好を図るための議連、種目別スポーツの議連などなど。参加費は毎月500円程度で、歳費から自動引き落としされますが、私でも50件近い議連に参加していますので、総額はバカになりません。

 私自身が会長を務めている議連は日本クウェート友好議員連盟、日本UAE友好議員連盟、日本エジプト友好議員連盟など、アラブ関係を中心に10程度。

 最近、力を入れているのが「無電註化推進議連」(自公)と「街コン・婚活議連」(自民単独)です。

「無電柱化議連」は日本で林立する3500万本もの電柱、電信柱を引っこ抜く運動を進めています。先進国でこれほど電柱・電信柱がにょきにょき立っている国はありません。技術面、費用負担と財源、住民の意思など、課題も林立していますが、東京五輪も前に一気に進めたいと考えています。

「街コン、婚活議連」は若者の出会い作りを応援し、年67万組という現在の成婚件数をまずは100万組へ伸ばす具体的な目標を定めました。先月、街コン・婚活サミットを開催したところ、約100団体が集結。大変な賑わいとなり、驚きました。

 50歳までに一度も結婚したことのない生涯未婚率は男性で20%を超えています。この未婚率を半減させることも目標のひとつ。23万件の離婚率も半減を目指します。

 問題は山積しています。現代の若者にとって出会いの機会が少ないこと。意思の問題もあります。経済の活性化と働き方の工夫。特に、非正規雇用やフリーターといった不安定さが漂う雇用状況では、相手の親が結婚に賛成しません。収入が少なければ、結婚費用も捻出できません。

「系」がついたとたんに胡散臭くなりがちな業界ですが、真面目に取り組む企業や団体も多数あります。アベノミクスの目指すところは、国民を幸せにすること。目標達成に向けて、活動を続けます。

(衆議院議員/自民党広報本部長)

小池百合子のMOTTAINAI 『ワールド・ビジネスサテライト』25年の歩み

2014.04.13 Vol.615

 先日、私が初代キャスターを務めたテレビ東京の経済情報番組「ワールド・ビジネスサテライト」の25周年を記念する会に参加しました。

 1988年4月4日の放送開始以来、いつの間にか四半世紀を超える長寿番組、テレ東の看板番組に育ちましたが、当初は試行錯誤の連続でした。

 夜11時半から50分間、東京・ロンドン・ニューヨークの三極から最新情報を伝えるコンセプトでスタートしたものの、衛星回線がつながらない、途中で切れるなど、ハラハラドキドキの連続。朝の株式番組から深夜の新番組へ抜擢された私の役割は「回線が切れた場合にも、しっかり番組を続けること」と言い渡されたものです。ちなみに番組制作費の多くは衛星回線料に費やされました。

 それが今やタダ同然の回線料だというではありませんか。イノベーションの結果なのでしょう。当時はインターネットも携帯もほとんどない時代。各種検索も日経テレコンの機能を駆使して、放送開始直前まで端末にかじりついていたものです。時の流れを感じます。

 ロンドンはロイター、ニューヨークはウォール・ストリート・ジャーナルの各テレビ部門と連携し、イギリス人、アメリカ人のキャスターが英語で最新情報を伝えてくれます。私とのやりとりも英語で、それを同時通訳するしかけでした。同時通訳者は西山千さん、村松増美さんなど、超一流の皆さんでした。途中から放送開始時間を30分間早めて、ニューヨークのマーケット時間に合わせる工夫もされました。

 何よりも隔世の感があるのが、経済指標です。

 25年前の日経平均株価は2万6000円台、為替は130円台でした。アベノミクスで株価急騰と騒いでも、当時と比べると1万5000円に乗せるのがやっとの今は、まだまだといったところです。

 最も驚くのは石油価格です。1バレルたったの15$です。現在は100$程度ですから、7倍です。これまでの最高値は147$ですが、為替要因を加えても油価の変化こそが最も激しい。おまけに、原発停止で、エネルギーコストは卒倒しそうな膨らみとなっています。

 日々の経済指標に一喜一憂しがちですが、長期で見ると景色は変わってくるものです。

 80年代には、日本の対外貿易黒字が諸悪の根源のように言われたのが、今や貿易赤字が大きな課題です。経常赤字が加われば、かつてアメリカが抱えた「双子の赤字」状態に陥ってしまいます。

 他局が横並びで一つの事件を延々とカバーするのに比べ、WBSではドイツの金利問題を冒頭ニュースとして取り上げるなど独自路線を頑固に守ってきました。「人と同じ」をヨシとしない私にとっても快適でした。

 視聴率至上主義を離れて、質を高めた結果、数字もついてきた例だと思います。今後とも、信頼できる番組作りにまい進してもらいたいものです。

(衆議院議員/自民党広報本部長)

小池百合子のMOTTAINAI 「アベノミクスも二年目。正念場が続きます」

2014.01.20 Vol.609

「アベノミクス」も二年目を迎えました。
 期待値を示す為替や株価を見ると、一昨年の総選挙を境に、為替は79円から104円へと大幅な円安、株価は8600円台から1万6000円前後と、東京市場は世界が羨むほどの値上がり率を記録しました。
 1月の日銀・地域経済報告(さくらリポート)でも、景気判断が引き上げられ、平成17年以来「回復」という表現が使われ、景気が確実に戻りつつあることを示しています。
 問題はここからです。
 海外の要因も気になる点が多々ありますが、私が最も心配するのが、貿易統計赤字の行方です。
 昨年11月の経常収支は5928億円の赤字で、2カ月連続過去最大の数字を記録しました。貿易収支は1兆2929億円の赤字。こちらは17カ月連続の赤字続きとなっています。
 私が経済キャスターを務めていた頃の80年〜90年代は、日本の膨大な貿易黒字に、財政と貿易の双子の赤字を抱えるアメリカから睨まれたものですが、いまや様変わり。学校では「日本は貿易立国」と学びましたが、頭を切り替える必要がありそうです。
 貿易赤字の背景には二つの問題点があります。第一に日本企業の国際競争力が低下していること。第二に石油やガスなどの化石燃料の輸入が急増していること。これは、すなわち原発停止による影響に他なりません。
 3・11の東日本大震災以降、電力会社が費やす燃料費は13年度で3兆6000億円も増えることになります。すなわち日本の国富を産油国、産ガス国に垂れ流しているわけです。その分、企業や家庭の負担が増え、国際競争力が低下するという悪循環です。ここでは円高是正、円安傾向がマイナスに働いています。
 中東産油国に流れた大切な日本のカネを還流させる。そのための知恵と工夫が必要です。
 ちなみに、「原発即ゼロ」と元気に元首相が叫んでおられますが、現実に今、原発はゼロです。原発が稼働していようが、していまいが、放射性廃棄物はすでに存在しています。ましてや、東京都内に原発が存在するわけではなく、原発を稼働させるか否かを東京都が決めるわけでもない。
 放射性廃棄物の最終処分場問題を後押しするための都知事選にしたいと二人の元首相が主張するなら、「東京都内に最終処分場を引き受けましょう!」くらいの公約を掲げて戦わねば、整合性がとれません。言いっぱなしになるのではないでしょうか。
 都民はけっこう冷静に見ていますよ。

小池百合子のMOTTAINAI 「祝祭日には日の丸を揚げましょう!」

2013.01.14 Vol.579

 新年とともに、安倍新政権が始動しました。経済再生の優先を標榜し、金融+財政+成長戦略の三本の矢をバランスよく放つことで、一気に景気回復を実現していこうというものです。大型の補正予算と25年度本予算の15カ月予算編成により、シームレスに景気を刺激するとともに、今後の飯のタネとなる成長戦略を盛り込むことになります。

 市場は今回の自公政権への交代で、アンチ・ビジネスからプロ・ビジネスへ転換したことを好感し、株高、円安の流れとなっています。とはいえ、これらはいずれも期待値にすぎず、実体経済への効果には多少のタイムラグが生じるのも事実。都議選、参院選と重要な選挙を迎える今夏に間に合うかどうかです。

 さて、日本は世界でもっとも祝日の多いことで知られます。今年の場合、ハッピーマンデーを含め、15日となっています。数年前にはカレンダーの関係で22日の祝日となりました。

 アメリカの公的祝祭日はマーティン・ルーサー・キング牧師の誕生日である1月21日など計10日、フランスは7月14日の革命記念日を含め計11日。ざっと数えて、こんなところです。

 わざわざ国が定めないと休めない、休まないという日本人の国民性には敬服するとともに、ホワイトカラーの生産性がOECD加盟国でも最低の日本の意識を変えられないものかと思うのは、私だけではないでしょう。

 国が定めても、定着していないのが国旗のありかたです。平成11年に施行された国旗・国歌法では、国旗は日章旗、国歌は「君が代」と定められたものの、掲揚や斉唱について、いまだに裁判沙汰になる状況です。

 私は、日本ほど自国の国旗が掲揚されていない国はないと感じています。町でみかける国旗といえば、イタリアやインド、フランス国旗ではないでしょうか。スパゲティーやカレー店の店頭にはためいているでしょう?! ちなみに国旗は風呂敷売り場に置かれています!

 アメリカでは祝日、平日を問わず、町中に星条旗が溢れています。トルコでは高い山の頂上には大きな国旗がはためいていました。リビアでは、新政権樹立とともに、王政時代の旗が復活し、人々は誇らしげに新しくて古い国旗をたなびかせていました。日本でも、ワールドカップやオリンピックのセンターポールに日の丸が揚がれば、若者も目頭をアツくするではありませんか。

 自民党の広報本部長としての初仕事は新人議員の国会事務所に日章旗を設置させることになります。商店街など、町での日章旗掲揚の流れも作りたいと思います。これを海外のメディアは日本の右傾化と論評するでしょうかね?

(衆議院議員/自民党広報本部長)

小池百合子のMOTTAINAI「政権奪還!いよいよ断髪。」

2012.12.17 Vol.576

 総選挙も終わり、ようやく私の断髪式の条件が整いました。

「ヒラリーの真似か」「似合わないな」「後ろから見れば女子大生だが…」などなど、散々な評をいただいてきた私の長髪ですが、昨年の東日本大震災以来、政権奪還までは髪を切らないと決め、伸びるにまかせてきただけです。

名付けて「臥薪嘗胆ヘア」。

 願掛けの手段にすぎませんので似合う、似合わないかは二の次。とはいえ、私にとって苦痛ともいえるひどい髪形であったことは自覚しています。

断髪式の会場はすでに心に決めています。両国の国技館。日取りはまだ決めていません。

 ともかく、12党による前代未聞の総選挙はドタバタ続き。にわか仕立ての選挙互助会的政党の政策もバラバラ。今後、どうやって国会対応をするのか、見ものです。特に、現職知事を抱える2党は、いったいどのように日々の決定をこなすのでしょうか。

 今回の総選挙の一つの争点はやはり原発問題でした。脱、卒、反、ゼロなど表現は様々でしたが、言葉遊びの時期は過ぎました。北海道では7%の数値目標を伴う節電もスタート。数週間前には停電騒ぎがあったばかりです。今冬の北海道の寒さは想像さえできません。

 一方で、原子力規制委員会は福井県の日本原子力発電敦賀原発の敷地内に活断層(破砕帯)が通っている可能性があるとの見解をまとめました。委員会では「再稼働の安全審査はとてもできない」としています。運転再開どころか、廃炉を迫られる可能性も報じられています。

 あらためて活断層を含めた原発建設の安全基準、すなわちどの原発が安全で、どの原発がそうではないのか。信頼される政府の元で、安全基準を設定し、総点検が必要であることは言うまでにありません。エネルギー安全保障の観点も不可欠です。

 ドイツでもチェルノブイリの原発事故以来、選挙の度に、原発への対応が問われました。3.11以降、脱原発の道を選びましたが、それまで脱原発、新規建設の可否など紆余曲折を経ています。一度決めた方針も、選挙前後に、経済状況も絡んで微妙に変わるのです。

 変わっていないのは電気料金の値上がり傾向でしょう。過去数年で2倍との報道もあります。一時は一世を風靡した太陽光発電装置メーカーのQセルズが安値の中国勢などに押され、今年4月に倒産した事実もあります。
 プラス、マイナス双方の要因を冷静に並べ、ここは頭を冷やして真の国益の観点からビジョンを描きましょう。

小池百合子のMOTTAINAI「山中教授のノーベル賞受賞で思うこと」

2012.10.15 Vol.568

 気がつけば、神無月。そろそろ来年のカレンダー制作にとりかかる時期です。
 内外ともにパッとしない今日この頃ですが、ここへきて明るいニュースが次々に飛び込んできました。
 7日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリで小林可夢偉が3位に入り、悲願の表彰台に上りました。同日、パリのロンシャン競馬場では昨年の三冠馬オルフェーヴルが惜敗の2位に。そしてテニスの錦織圭がジャパン・オープンで堂々の優勝、ときました。
 それだけではありません。8日にはiSP(人工多能性幹)細胞の研究で、京大の山中伸弥教授がついにノーベル医学・生理学賞を受賞されました。自民党の世耕弘成参議院議員と中高の同級生だった縁から、数年前の研修会で山中教授の講演を伺う機会がありました。研修後の懇親会ではカラオケでデュエットもさせていただきました。曲名は忘れましたが、とてもシャイな歌い方でした。
 山中教授の地道で真摯な研究は、うつむき加減の日本と、病に苦しむ人々、総じて人類に希望を与えてくれました。山中教授とその仲間の皆さんに心から感謝し、実用化に向け、さらなる活躍をお祈りしたいものです。必要な研究環境の整備とともに。
 ノーベル賞の選考は物理学賞、化学賞、経済学賞の3部門についてはスウェーデン科学アカデミー、生理学・医学賞はカロリンスカ研究所、平和賞はノルウェー国会、文学賞はスウェーデン・アカデミーがそれぞれ行いますが、その過程は公表されていません。
 実は、私は沖縄担当大臣の際に、候補者の絞り込み過程を垣間見ることができました。沖縄・恩納村に世界最高水準の研究機関「沖縄科学技術大学院大学」を創設するため、世界最高の研究者と知己を得ることができたからです。
 利根川進氏(87年生理学・医学賞)、ジェローム・フリードマン氏(90年物理学賞)をはじめ、トーステン・ヴィーゼル氏(81年生理学・医学賞)、シドニー・ブレナー氏(02年生理学・医学賞)、スティーブン・チュー氏(97年物理学賞・現米エネルギー庁長官)など、全員がノーベル賞受賞者ばかり。会議の合間に、「次のノーベル賞受賞者は誰にしようか」「彼はまだ早すぎる」「あと数年、成果を見なければ」といった会話が飛び交うのです。正式な選考会の前に、こうやって専門家同士で絞り込みをするのだなと理解しました。これらの専門家の視野に入らなければ、ノーベル賞の候補にもなりえないことも。
 この大学院大学計画は、例の「仕分け」の対象にもなりましたが、ぜひとも次代のノーベル賞受賞者を輩出できる「ゆりかご」となることを期待しています。       
(自民党衆議院議員)

小池百合子のMOTTAINAI「領土問題にメディアはどう対応してきたか」

2012.09.10 Vol.565

 8月には尖閣諸島の一つ、沖縄県石垣市字登野城2392番地の魚釣島に香港の活動家が不法上陸する事件が起こりました。また島根県隠岐郡隠岐の島町無番地である竹島に韓国の李明博大統領自らが侵入。7月にはロシアのメドベージェフ大統領が再度、北方領土に上陸した事件もありました。

 日本が三方から「攻め込まれた」状態です。北京で日本大使の公用車が行く手を阻止された揚げ句、国旗を奪われるという考えられない事件もありました。

 わが国の天皇陛下を侮辱した李明博大統領への野田総理の親書を韓国政府が受け取りを拒否するという考えられない出来事まで起こりました。

 一言でいうと、日本が「なめられている」。弱い日本が「付け込まれている」。そう断言せざるをえません。

 実兄が違法資金疑惑で逮捕された李明博大統領も、歴代大統領が死刑宣告を受けたように、退任後の悲惨な運命を予感しているのか、愛国者として名を残すための竹島上陸なのでしょう。

 それにしても日韓の離反は東アジア情勢に新たな不安定さをもたらします。李大統領の言動は、一国の指導者としての責任を放棄したエゴイストそのものではありませんか。
 これらの異常事態は突然降って沸いたものではありません。竹島は60年前のサンフランシスコ講和条約発効直前、韓国側が一方的に李承晩ラインを設定したことに端を発しています。北方領土は日本がポツダム宣言を受諾し、降伏した後に赤軍が上陸、占領したもの。尖閣諸島は国連の機関が豊富な天然資源の存在を報告して以来、にわかに中台が領有権を主張したケース。

 自国の領土、領海を主張するのは政治の責任ですが、長年、日本のメディアは領土問題を取り上げる政治家を危険な軍国主義者、右翼扱いし、日本の平和ボケを助長したといえます。

 メディアは竹島を「日韓両国が領有を主張する」竹島と呼び、尖閣に上陸した元衆議院議員の西村真悟氏を極悪非道の危険人物扱いしました。私自身、「ワールド・ビジネス サテライト」のキャスター時代に「朝鮮民主主義人民共和国」の正式名称が長すぎるとカットしようとすると、「あとが面倒だから」と言い直しを迫られました。ならばイギリスは「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」と呼ばねばなりません。

 ようやく「島根県の竹島」といった報道が見られるようになりました。これまでの政治の責任を問うなら、メディアの責任も問われるべきです。国民の後押しのない領土の保全はありません。

 今からでもいい。きちんと歴史を学び、伝える教育とメディアの対応を求めます。
(自民党衆議院議員)

小池百合子のMOTTAINAI 第15回「6月は日本と世界の鬼門となるか?」

2012.06.11 Vol.555

 そろそろ梅雨入りかと思いきや、早くも台風3号のおでましです。竜巻に襲われたり、雹(票なら大歓迎ですが)に見舞われたりと、気候も政治も不安定極まりない状況が続いています。
 6月は世界の政治のハイライトが目白押しです。
 まず、今通常国会の会期が21日に迫る中、6月18日から開かれるメキシコでのG20に出席するには、15日にも衆院本会議での消費税関連法案の採決を行わなければなりません。
 ましてや、その後、ブラジルでのリオ環境サミットが開かれます。ちなみに、20年前、同じくリオ・デジャネイロで開かれたいわゆる「地球サミット」に世界中のリーダーが参加するなか、出席できなかった主要国はイタリアと日本だけでした。イタリアはそもそも首相の座が空席でした。日本については、当時の宮沢喜一首相が湾岸戦争後の機雷処理に自衛隊を派遣するための法案処理のため、国会を離れられなかったという事情がありました。結果として、日本は地球環境保全に後ろ向きとの印象を残しました。
 今回は、ぜひとも日本を代表して野田総理にはリオに飛んでほしいものです。
 6月16、17日には、私の第二の故郷でもあるエジプトで大統領選の決選投票が行われます。昨年のいわゆる「アラブの春」でムバラク大統領が権力を失い、先日終身刑を宣告されたばかりですが、判決や息子たちへの甘い対応を不服とする国民、なかでもイスラム系の反発は強くなるばかりです。結果として、長い歴史を持つムスリム同胞団をベースとする候補が勝利を収める可能性があります。
 となると、これまで世界の火薬庫といわれる中東において重要なセーフティーネットとなっていたエジプトとイスラエルの平和条約にも影響が出てくるでしょう。首相に世俗主義者を置くなどの配慮があるか、ないかがポイントになりますが、シリア情勢と相まって、中東の不安定化が懸念され、すなわち原油価格などに影響を及ぼします。
 遠い世界の出来事のようですが、原発すべてが停止し、老朽化した火力発電も駆り出す状態にある日本にとっても見逃せません。
 トドメは同じく17日に行われるギリシャの再選挙です。世論調査では8割以上が「ユーロ圏からの離脱は望まない」が、「緊縮財政もイヤ」とのこと。結果次第では、想定外だったユーロからの離脱、旧通貨のドラクマ復活とのシナリオが現実のものとなり、世界経済は大荒れが予測されます。
 6月は日本にとって、世界にとっても鬼門となりそうです。

(自民党衆議院議員)

小池百合子のMOTTAINAI 第14回「場当たり的ではないリアルな政治を!!」

2012.05.14 Vol.551

「脱」「卒」「反」だと、原発を巡る言葉遊びを続けているうちに、日本にあるすべての原子力発電が停止しました。42年ぶりの脱原発です。

 こどもの出産や入学、卒業など、将来の日程が明確であるように、13か月ごとの定期検査を考慮すれば、原発の全停止は十分予測されていたはずです。この1年間、いったい何をしていたのか。

 消費税増税に「政治生命」と全エネルギーを傾ける単線志向の野田総理ですが、「日本のエネルギー問題」こそ喫近の国家的課題。おまけに電力不足は国民の生命にも関わる問題です。複線志向で、目指す方向を決めながら、次に何をするかを考え、一つひとつ実行する…。政府の役割はこれに尽きるのではないですか。

 3・11以後、多くの国民、そしてほとんどの日本の政治家は、濃淡はあれど、原発に依存しない社会を望むようになりました。世界のすう勢が原発推進の流れだとしても、地震や津波の危険性の高い日本では慎重にならざるをえないことは当然というものでしょう。

 ただ、電力を所管する大臣が「5月6日から一瞬ゼロになる」と言い放ち、「集団自殺するようなことになる」と与党幹部が脅したりと、事態は複雑、かつ情緒的になるばかりです。場当たり的な政策や判断の繰り返しが、ますます国民を不安と混乱に陥れているわけです。

 技術的、科学的、客観的な判断を下す組織が必要であり、原子力規制庁の設立が急がれます。環境省の外局方式を主張する政府・与党案、いわゆる三条委員会方式で独立性の確保を重視する自民党案などの折り合いがつかず、いまだ宙ぶらりん状態です。早急に結論を出しましょう。そのためにもさっさと問責を受けた2大臣の入れ替えが必要です。

 また、地球温暖化対策として二酸化炭素の25%削減や、原子力発電計画の倍増を謳ってきた民主党です。改めるべきは、改め、早急に今後のエネルギー政策を明らかにする責任があります。

 その上で、どの原発は安全性が高く、どの原発に不安があるか、より明確に、率直に国民に説明をすべきです。この1年間に生じた「すべての原発が危険」との印象を抱かせている現状では、かつての「原発の安全神話」の裏返しになりかねません。オール・オア・ナッシングではリアルな政治とはいえないのです。

 原発問題だけでなく、あらゆる分野での日本政府のモタモタぶりを世界が見ています。現政権には、そのことを心していただきたいものです。

(自民党衆議院議員)

小池百合子のMOTTAINAI 第12回「被災地のがれきの処理は「おたがいさま」の意識で」

2012.03.12 Vol.544

 遅い。遅いです。

 何がというと、被災地のがれきの処理です。岩手、宮城、福島の被災3県から排出されたがれきの量は2300万トン。平時の廃棄物処理量の10〜20年分にあたります。

 阪神大震災のど真ん中にいた私は、兵庫県の近隣自治体ががれき処理に協力してくれたことに今も感謝しています。

 思い出が詰まった家々が破壊され、災害廃棄物という無機質な固まりとして積み上げられたさまを見るだけで、精神的にも重苦しいものです。新しい出発をするにしても、がれきが片付かないうちは復興段階に入れません。

 東日本の復興促進のためには広域処理は不可欠です。

 問題は福島第一原発事故の影響を受けたがれきを全国にバラ撒くのではないかという不安です。京都の大文字焼の際に起こった騒動が不安の拡散に輪をかけました。

 先日、政府は食品の安全基準を一般食品で100ベクレルとしました。廃棄物に含まれる放射性セシウムについて再利用の基準も100ベクレルとなっています。そもそも人体にはカリウムなどの放射性物質が含まれており、体重60�sの人なら7000ベクレルは保有しているとされています。

 だから、被災地からのがれきをなんでも受け入れていい、というわけではありません。放射性の高いがれきはそもそも「受けない」ことを明確にしなければなりません。

 大都市で起こった阪神大震災と、津波に洗われた東日本大震災ではがれきの種類も異なります。阪神ではコンクリート系が莫大な量を占め、一方、東日本では住宅の木材が多いといいます。おのずと処理方法も異なります。木材系はバイオマスとして火力発電の材料としても活用できますが、仕分けの手間などを考えると、コスト面での問題も生じます。

 それでも、電力不足という現実を考えると廃材を資源として活用する意味は大きいでしょう。

 また、被災地の自治体ごとに廃棄物の収集を優先したところと、最初から分別という段階を経たうえで、素材別に収集したところがあります。耳にする範囲では、遠回りでも分別から始めた自治体のほうが、結局は全体の処理が進んでいるようです。

 また、津波被害が大きかった地域は必然的に海に面していることから、広域処理では船を輸送に活用しやすくなります。地震で破壊した内陸部は鉄道による輸送となります。

 量、質の両面を考慮し、迅速に決断を下す。

 平時の知恵の蓄積がものをいいます。マイナスからの作業ですが、日本が「おたがいさま」の意識で協力し合いたいものです。

(自民党衆議院議員)

小池百合子のMOTTAINAI 第11回「 一刻も早く新たなるエネルギー戦略を考えるべき」

2012.02.13 Vol.541

一刻も早く新たなるエネルギー戦略を考えるべき

 いよいよ来年度の予算審議が佳境に入ってきました。人口構成が大きく変わるなか、年金や医療、介護などの社会保障の設計を変えることはまったなしの状況であると、多くの国民も理解しているところでしょう。

 来年度予算の中身は消費税増税を先取りし、年金基金という別財布から流用しての交付国債発行など、問題点も数多く、審議を深める必要があります。

 本来なら、国民生活に直結する「社会保障」問題について大切な議論を重ねるべきところですが、田中直樹防衛大臣のあやふやな答弁に多くの時間とエネルギーを「安全保障」に費やす流れとなっています。

 そもそも、防衛政策にまともに答えられない防衛大臣を任命するほうが問題です。任命権者である野田総理の責任こそが問われます。もう少し「お勉強」する時間を与えても、といった心優しい感想こそ、わが国の平和ボケの最たる結果ではないでしょうか。

 現在の日本を取り巻く状況は、そうそう心優しいものではないのです。社会保障の充実も、国家の安全が守られてこその話です。

 国民生活に直結するもうひとつの問題は電力料金値上げの流れです。企業向け電気料金を4月から平均17%値上げとされますが、例えばNTTの場合、グループ全体で年間50億〜60億円のコスト増となると発表しています。消費者への負担増につながる恐れは大です。

 家庭用電力料金の値上げを含むと、消費税とのダブルパンチとなります。国際競争力の観点からも、由々しき状態と言わざるをえません。

 原発を取り巻く環境は依然厳しく、このままでは4月にはすべての原発が停止します。その分、世界から火力発電所用の石油やガスを仕入れなければならず、おまけにイラン情勢の不透明感からエネルギー価格は右上がりときました。

 どうやって自己防衛するか。

 以前、日本中の照明をLED化すれば13基の原発は不要となる試算を紹介しました。節電、省エネを徹底することが最短の道です。企業なら、リース方式を活用して、徹底して照明のLED化を進めるのはどうでしょう。

 そのための積極的な助成策こそ予算に盛り込むべきですが、そうはなっていない。どうも何を優先するべきか、感度が鈍いように思います。

 エネルギー安全保障という日本にとって最も脆弱な部分を直撃した東日本大震災と福島第一原発事故。ならば、一刻も早く出すべきは、新たなエネルギー戦略でしょう。総力戦で臨みましょう。

(自民党衆議院議員)

 

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