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TRASHMASTERS『猥り現(みだりうつつ)』さまざまな形でなされる問題提起に気づく感性が大事

2016.02.08 Vol.660

 現代社会が抱えるさまざまな問題を題材に、かなり骨太な物語を描くTRASHMASTERS。

 作・演出を務める中津留章仁は綿密な取材とそこから生まれる問題意識、そして持ち前の世の中を読む力で、フィクションの一言では片づけられないようなリアリティーのある物語を紡ぎ出す。そればかりではなく、彼なりの未来へ向けた問題提起を見る者に投げかける。

 テーマに真摯に向き合うゆえに、上演時間が長くなってしまったり、笑いの要素が排除されてしまったりと昨今の演劇のトレンドから離れていってしまうこともあり、高く評価することに積極的ではない者も多かった。しかし最近は読売演劇大賞の優秀演出家賞をはじめ各賞を受賞。岸田國士戯曲賞に最終ノミネートされるなど、こういう状態を「時代が追いついてきた」というんだな、という感じになっている。

 今回、中津留が取り上げるのは昨年から日本の政治における中心的な話題となっている安保法制や「イスラム国」といったあたり。どんな視点でこのセンシティブな問題に切り込んでいくのか注目したい。

TRASHMASTERS『猥り現(みだりうつつ)』

【日時】2月18日(木)〜28日(日)(開演は平日19時。※23日(火)は14時開演。26日(金)は14時の回あり。土日は20・21日は14時、27・28日は13時開演。27日(土)は18時の回あり。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】赤坂レッドシアター(赤坂)
【料金】全席指定 前売4200円、当日4500円/特定日割引(18・19日)3000円/U25(25歳以下)2500円/学生(大学・短大・専門学校・高校・中学)1000円 ※U25券、学生券は劇団前売り取り扱いのみ。当日受付にて身分証提示。
【問い合わせ】SUI(TEL:03-5902-8020=平日11〜17時 [劇団HP] http://www.lcp.jp/trash/ )
【作・演出】中津留章仁
【出演】吹上タツヒロ、星野卓誠、倉貫匡弘、髙橋洋介、森下庸之、森田匠、長谷川景、龍坐、川﨑初夏、岡本有紀(青年劇場)、保亜美(俳優座)

人間ドラマにどっぷりつかってみる『同じ夢』

2016.01.25 Vol.659

 劇作家、演出家、そして俳優という3つの顔を持つ赤堀雅秋。ここ数年は自ら主宰を務める劇団、THE SHAMPOO HATの公演はもとより、多くの外部公演から作・演出、そして俳優としてもひっぱりだこ。加えて映画のメガホンも握るなど多忙の日々のなかでも、年に1本は新作を書き下ろすなど、バイタリティーあふれる活躍っぷりには目をみはるものがある。

 赤堀の作品は特段センセーショナルな出来事が起こるわけではなく、むしろ地味な人々のよくあるお話が淡々と進行する。ただし、登場人物たちのダメな部分や闇の部分の描き方が絶妙。平々凡々に見える人物から見え隠れする凶暴性だったり、ユーモアあふれる人物の裏側にある物悲しさといったものが絶妙なタイミングとあんばいで顔を出し、その人々が抱えるドラマにぐいぐい引き込まれる。

 そんな赤堀の新作書き下ろしは、中年のおっさん4人に2人の女性が絡むお話。おっさん4人を演じるのは光石研、大森南朋、赤堀雅秋、田中哲司という一筋縄ではいかないベテランたち。ヒロイン役には昨年に続いての舞台出演となる麻生久美子。そしてデビュー5年目にして数多くの作品に出演し、若手演技派女優として頭角を現している木下あかりと豪華な顔ぶれとなっている。

『同じ夢』
【日時】2月5日(金)〜21日(日)(開演は平日19時、土13時/18時、日13時。※6日(土)、7日(日)は15時開演。11日(木・祝)は14時開演。10・17・18日は14時の回あり。火曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)
【会場】シアタートラム(三軒茶屋)
【料金】全席指定 一般6800円、高校生以下3400円(世田谷パブリックシアターチケットセンター店頭&電話予約のみ取扱い、年齢確認できるものを要提示)、U24(18〜24歳)3400円(事前の会員登録が必要)、トラムシート5800円
【問い合わせ】世田谷パブリックシアター(TEL:03-5432-1515 [HP] http://setagaya-pt.jp/ )
【作・演出】赤堀雅秋
【出演】光石研、麻生久美子、大森南朋、木下あかり、赤堀雅秋、田中哲司

月刊「根本宗子」再び第7号『今、出来る、精一杯。』演劇へのたゆまぬ探究心は世代も作風も越える 

2015.10.11 Vol.652

 根本宗子は今年は作・演出家としては5月に本公演、6月にミュージシャンの大森靖子とのユニットとなる『ねもしゅーせいこ』、合間を縫ってのバー公演、女優としても『墓場、女子高生』といった話題作の舞台に立つなど、演劇界をにぎわせてきた。

 演劇以外でも映画、ドラマへの脚本提供、テレビ朝日のウェブ番組にMCとしてレギュラー出演するなど多忙を極めた。
 その活動の根底にあるのは「私にしかできない、誰にもできない面白いものを作りたい」という飽くなき探求心。
 今回は1週間ずつ2作品を連続上演するという。

「再び第7号」は2013年に駅前劇場に初進出した時の作品を再演。11月1日からは第11号『超、今、出来る、精一杯。』を同所で上演。こちらは続編でもなんでもなく全くの新作。

 なんとも贅沢かつ無謀な試みにも思えるが、かつての自分と今の自分を戦わせてみようということで、こういう形になった。
 この『今、出来る、精一杯。』という言葉はまさに今の根本宗子の心境を表したもの。果たしてどんな“精一杯”を見せてくれるのか。

[STAGE]よみがえる名作を2選

2015.08.23 Vol.649

日本の30代『ジャガーの眼2008』

 2012年に上演された松尾スズキ作・演出の『ふくすけ』に出演した役者たちが集まって、昨年、この「日本の30代」を結成した。

 10年を超えるキャリアを重ねるなか、所属劇団でも重要なポジションを占めるようになり、それに伴い外部への客演も増えてきた。しゃにむに突っ走ってきた20代を過ぎ、役者としていろいろなことを考える余裕が出てきた。そして「これまでの作品からはみんなが想像できないような、もっと違った芝居がしたい」と思った者たちが自然に集まり、できたユニットだ。

 もともと松尾スズキのテイストに近い彼らではあったが、そんな思いもあったため、旗揚げ公演では文学座の鵜山仁に演出を依頼し、シェイクスピアの『十二夜』を上演。普段は見せない顔で、よそではあまり見ない十二夜を作り上げた。

 今回は木野花を演出に迎え、唐十郎の『ジャガーの眼2008』を上演する。“唐十郎”という絶対的な個性と“テント芝居”という幻想的なキーワードがついて回るこの作品は古くからのファンも多い。唐以外が上演するときも、割と近い関係の人やテイストを持つ人が手がけてきた。世代もテイストも違う彼らは果たしてどんな形のものを提示してくれるのだろうか…。

【日時】8月28日(金)〜9月7日(月)(開演は28・3日19時、29・7日17時、30・1・4・6日14時、2・5日14時/19時。31日休演。開場は開演30分前。当日券は開演45分前)【会場】駅前劇場(下北沢)【料金】自由席 前売3300円、当日3500円/指定席 前売3800円、当日4000円/高校生 前売1800円、当日2000円(日本の30代webのみ取扱い・当日身分証確認)【問い合わせ】リトル・ジャイアンツ(TEL:090-8045-2079=平日12〜19時[HP]http://www.nihonno30.com/)【作】唐十郎【演出】木野 花【出演】井内ミワク、井本洋平、延増静美、少路勇介、鈴真紀史、竹口龍茶、羽鳥名美子、平岩紙、町田水城、富川一人

根本宗子、大忙し!! 2カ月連続で新作2作品を上演

2015.04.26 Vol.641

 劇作家、演出家、女優といったジャンルを超えアグレッシブに活躍中の根本宗子の作・演出・出演の舞台が立て続けに2本上演される。月刊「根本宗子」第10回公演『もっと超越したところへ。』(5月9日〜、下北沢・ザ・スズナリ)と大森靖子×根本宗子『夏果て幸せの果て』(6月3日〜、池袋・東京芸術劇場シアターイースト)がそれ。

『もっと――』は女子4人のさまざまな恋愛模様をラブコメ仕立てで描いた作品。

「去年までダメな男の人を描いて来たんですが、最近はしっかり自分の非も見られるようになったのと、昔より小さな幸せを守ることが大事に思えて来て。だからいつもなら今回の題材、女子が不幸な終わり方をしてたけど、今回はそれをどれだけ幸せに見せられるか試みてます」

『夏果て――』はミュージシャンの大森靖子の『夏果て』という曲を題材とした作品。大森が出演することでも話題を呼んでいる。もともと根本が劇中で大森の曲を使っていたのがきっかけでこのコラボが実現。

「大森さんの曲はよく聴いていて、この『夏果て』という曲も好きだったんです。5分ほどの中でものすごくちゃんとしたストーリーがあって、今回、この曲を演劇にしてみたいと思いました。大森さんの役はほかの人より自由度が高く、毎日違うものが見られると思うので、ライブ感覚でも見ていただければと思います」

 2本続けて見ると根本宗子の何が分かる!?と尋ねるとしばらくの沈黙の末「………今(笑)」という答えが返ってきた。自らの作品や自らのことを固定されたイメージでとらえられることが「嫌い」という根本。実際、2008年に劇団を立ち上げて以降、短期間のうちに急激な成長曲線を描いてきただけに、過去の作品のイメージのまま今回の作品を見たら戸惑う人もいるかもしれない。

「今回は私が思う幸せを別視点で描いている2作品です。同じ題材で全く違う見せ方の作品をたった2週間の間隔で上演するということはなかなかないので、ドキュメンタリー的な感じで見てもらっても(笑)」とのこと。なるほど、そういう楽しみ方もあり。公演の詳細はこちらから(http://ameblo.jp/buroguha-nikkande/)(www.oomorinemoto.jp

『月刊「根本宗子」』こんなタイトルつけられたら見に行かないわけにはいかない

2014.08.02 Vol.623

 今年最初の発行号で「2014年、気になる人」としてインタビューした根本宗子。劇団『月刊「根本宗子」』主宰、作家・演出家、そして女優として案の定、2014年は大忙しの日々。そんな中、8月22日から月刊「根本宗子」第9.5号『私の嫌いな女の名前、全部貴方に教えてあげる。』を上演する。

「ダメな恋愛ものは1月公演で一区切りのつもりだったんですが、どうしてもやりたい題材ができてしまって、今回やることにしました。ごくごく私の私情をはさんだ理由なんですが(笑)、何かがありまして…それは秘密です(笑)」

 どういったお話?

「アイドルを取り巻く女たちの話です。途中から何を見せられているんだろうという時間が、多分あります。脚本的には劇的な物語はなにも起こりません。説明ゼリフを排除して、くだらない会話だけで人柄を見せることを前半、1時間半ほどやってみようと思っています」

 アイドル役でD-BOYSの土屋シオンが出演する。

「顔がアイドルっぽくて可愛いいというのがこの役の絶対条件だったんで、そこはこだわりました。本物のアイドルをアイドルの役に据えたことでだいぶリアリティーが増しました」

 幕が上がってのお楽しみなのだが、ちょっと変わった設定とタイトルに隠された秘密がある。

「いろんなお芝居を見てきて、最近みんな同じに見えて、見飽きてしまっていたんです。それで“自分は違うんだ”と思ってやってきたんですが、それもやり飽きてしまい、行き着くところに行き着いてしまったのが今回の作品なんです」

 相変わらずのチャレンジャーだ。

「分かるっ!」女のショートコメディーが舞台で復活『祝女〜shukujo〜』

2013.11.10 Vol.604

 女性の本音やリアルな姿を描き出して人気を博したコメディー番組『祝女〜shukujo〜』が、舞台になって来年2月にカムバックする。

『祝女〜shukujo〜』は、2010年から2012年にわたってNHK総合で放送されたもの。番組では、仕事や休日、アフターファイブなど、日常の何気ないシーンを舞台としたショートストーリーをオムニバス形式でみせた。友達、主婦仲間との関係、職場でのやりとり、恋のライバルなど、さまざまな人間関係のなかで起こる出来事を、客観的に描いて、「ある!ある!」「分かるー!」と女性たちには絶賛され、男性たちを苦笑いさせた。舞台では、番組よりもパワーアップして、女のココロをより生々しくライブ感たっぷりに見せてくれそうだ。

 キャストは、番組のレギュラー陣である友近、YOU、市川実和子。さらに、人気爆発中の大久保佳代子(オアシズ)、入江雅人らも加わる。また、友近と大久保はWキャストで、それぞれの公演でストーリーも変わる。

 舞台版には、テレビ版でもおなじみのシリーズのほか新作も含まれる予定だという。

 年明けもっとも話題の公演のひとつとなりそうな『祝女〜shukujo〜』。チケットは現在、ローチケで発売中。クリスマスのプレゼントとしてもオススメだ。

演出の妙を感じさせる作品 世田谷パブリックシアタープロデュース『オセロ』

2013.05.27 Vol.592

 常に独創的な作品を発表する世田谷パブリックシアターが、またもや新たなる挑戦に乗り出す。

 今回の題材はシェイクスピア四大悲劇のひとつとして知られる『オセロ』。そして白井晃が『オセロ』を現代の視線で再構成・演出する。白井がシェイクスピアを手掛けるのは遊 機械/全自動シアター時代以来となるから、それだけでもレアといえばレアなのだが、今回はなにやら演出がかなり特殊なことになっているという。

 俳優は単にその役を演じるだけではなく、“素の俳優”と“俳優が演じている役”という二重構造の中で演じ、心情をシンクロさせていく。演出家は本来の意味の役割を越え俳優に関わろうとし、俳優は時として素の心情で共演者に嫉妬の目を向ける…。

 例えば舞台に立つ仲村トオルは、その時「オセロ」なのか、「オセロを演じる俳優」なのか、それとも「素の仲村トオル」なのか…といった案配。

 二重構造というと劇中劇を思い浮かべるかもしれないが、今回の場合は異次元というか異空間といった趣。劇場構造をも駆使した壮大なる挑戦ともいえる作品。

岩松了プロデュース「カスケード~やがて時がくれば~」

2011.03.07 Vol.500

岩松了が若手俳優たちとワークショップから作り上げる

 作・演出家・岩松了が今年早くも2作目の新作書き下ろし。

 1〜2月にかけ上演した『国民傘』ではオーディションで選ばれた俳優たちと「戦争」をテーマとするオムニバス形式の実験的な作品を作り上げた岩松。今回は昨今、舞台や映像で頭角を現しつつある若手俳優たちとのワークショップを経て、ひとつの作品に取り組むという。

 物語は「かもめ」の上演を控えた若い役者たちを中心に繰り広げられる。とある出来事をきっかけに彼らのバランスがくずれはじめ、さまざまな問題が浮き彫りになる。彼らを翻弄するのはチェーホフ? 世間の大人たち? それとも演出家? 涙を笑いで洗う青春群像劇。

 葛川思潮社の『浮標』での好演も記憶に新しい安藤聖、昨年の『シダの群れ』で岩松作品を経験済みの�「ジョンミョンら、これから気になる若手俳優たちがしのぎを削る舞台となる。

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