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STAGE | TOKYO HEADLINE - Part 5
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日本に今一番必要な「笑い」をとことんやり切ってくれるはず 劇団献身『知ラン・アンド・ガン!』

2020.08.21 Vol.732

 今後の飛躍が期待される若手劇団を集めて贈る、三鷹市芸術文化センターの名物企画『MITAKA“NEXT”Selection』の第2弾。

 劇団献身は早稲田大学演劇倶楽部出身の奥村徹也が、卒業後1年間のサラリーマン生活を経て2014年に旗揚げした劇団。その作品は「ノンストップナンセンスコメディ」と銘打つように“3秒に1度”と評される圧倒的手数のギャグが特徴。このギャグを武器に、ワンシチュエーションはもちろん、ハイスピードかつ複数の時間軸で構成された世界を縦横無尽にふざけ倒す。

 今回の作品は、指示を忘れて、勘で動き続ける7人の男たちによる「センチメンタル遊撃軍奮闘記」。「遊撃軍奮闘記って何のこと?」と思ったら、もう奥村の掌の上。とりあえず劇場に確かめに行くことをお勧めする。

『MITAKA“NEXT”Selection』に出る劇団は前年には決定しているのだが、今年、劇団献身が選ばれていたのは、今となってみれば最高のチョイス。なぜなら彼らはきっと、新型コロナウイルスによって閉塞感のある日本に今一番必要な「笑い」をとことんやり切ってくれるはずだから。

繊細で綿密な会話劇と空間演出 東京夜光『BLACK OUT~くらやみで歩きまわる人々とその周辺~』

2020.08.14 Vol.732

 三鷹市芸術文化センターの名物企画である『MITAKA“NEXT”Selection』も今年で21年目を迎える。「今後の飛躍が期待される劇団」というくくりで劇団をセレクトするこの企画をきっかけに、これまで多くの劇団が飛躍を遂げてきた。

 今回、第1弾となる「東京夜光」は横内謙介氏に師事したことから劇団扉座の演出助手を務め、また多くの市民劇や研究所公演、映画などに脚本・演出、演出助手とさまざまな形で関わった経験を持つ川名幸宏が作・演出を務めるカンパニー。2018年の「第28回下北沢演劇祭」の若手支援企画「下北ウェーブ2018」に選出されたことから旗揚げした。作品では川名自身の経験や、そこで得た感覚を普遍の物語に昇華し、繊細で綿密な会話劇と、ムーブメントによる空間演出を織り交ぜる試みをしている。

 タイトルである「BLACK OUT」には「暗転」という意味があり、本作は演劇の現場が舞台で川名がこれまで務めてきた演出助手という仕事から着想を得たものとなっている。

いしいのりえと岩田光央のユニット「カナタ」 活動10周年記念公演「あぶな絵、あぶり声 ~祭~」再始動

2020.08.13 Vol.732

 イラストレーターのいしいのりえと声優の岩田光央による愛交朗読ユニット「カナタ」。2010年から「大人の女性が楽しむ空間」をコンセプトに、男性声優や俳優がごく普通の男女の恋愛物語を、スクリーンに投影したイラストとキーボードピアノの生演奏をバックに朗読する「あぶな絵、あぶり声」を発表してきた。観覧は18歳以上の女性限定という制限を設けているにもかかわらず、毎回大きな話題と反響を呼んでいる。

 今年で10周年を迎えた同ユニットだが、当初4月に予定していた記念公演は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全公演中止。この秋、ファン待望の記念公演が改めて開催されることが決定した。神奈川公演は横浜ランドマークホール、東京公演は品川グランドホールにて、出演は主宰の岩田光央を始め蒼井翔太、仲村宗悟、佐藤拓也、畠中祐、小野大輔、豊永利行、森川智之という超豪華声優陣が日替わりで登場する。

 いしいの絵と文、岩田の演出により絵と声の両サイドから表現した「愛交ストーリー」が人気の舞台。感染対策を万全に濃密な世界を楽しみたい。

彼はいったい何ものなのか? 英児童文学の傑作を舞台化した『スケリグ』

2020.08.08 Vol.732

 浜中文一が主演する舞台『スケリグ』が、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで上演中。本作は2019年に浜中主演で上演されており、再演。演出はウォーリー木下が務めている。

 イギリスの作家デイヴィット・アーモンドによる児童文学の傑作『スケリグ(Skellig)』を舞台化したもの。浜中が演じる古い家のガレージの片隅に住む「彼(スケリグ)」を少年マイケルが見つけたことがきっかけとなって物語が展開する。マイケルには病気の妹がいて両親は彼女ににかかり切り。マイケルは隣の家に住むみなとスケリグを助けようと動き始めて……。

 7名のキャストはひとりが複数の役を演じたり表現したりと、大忙し。そこに生演奏と映像を駆使した美術が重ねられ、魅力的な世界が広がる。不思議で温かな世界を描き出す。

 8月16日まで同所で。その後、大阪、愛知、所沢(埼玉)で公演がある。

劇場に演劇が、そしてお客さんが帰ってくる 東京芸術劇場『赤鬼』

2020.07.24 Vol.731

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言が解除され、6月から徐々に演劇が劇場に戻ってきた。臨時休館していた東京芸術劇場も7月24日から満を持して自主演劇事業を再開。その第一作として、同劇場の芸術監督を務める野田秀樹氏の作・演出による『赤鬼』が上演されることとなった。

 出演するのは、野田が演劇人の発掘・育成を目指して募集し、ワークショップなどで修業に励む「東京演劇道場」の道場生ら。

 同作は1996年にNODA・MAP 番外公演として初演。以降、それぞれの国の俳優とワークショプを重ね、それぞれの国の言語で演じるというプロジェクトとして、国内にとどまらず海外でも上演されてきた。

 主な登場人物が4人であることから基本的にはキャストは4人なのだが、1998年にタイ人キャストで上演された「タイバージョン」では総勢16人が出演。今回はこれをアップデートした「17人キャスト版」を東京演劇道場生らの4つのチームで連続上演する。

 本作は“赤鬼”が漂着したある漁村を舞台とし、「他者への想像力の欠如と不寛容」「移民や異なる人種への差別」「未知なる存在といかに共存するか」といったテーマが描かれる。まさに新型コロナウイルスに右往左往し、他人の行動に過敏になり、やがてコロナとともに生きる知恵を振り絞りながらおずおずと生活を動かし始めた現在社会のよう。

 野田戯曲の普遍性と先見性を改めて感じさせられる。

劇場に演劇が、そしてお客さんが帰ってくる 劇団かもめんたる『君とならどんな夕暮れも怖くない』

2020.07.16 Vol.731

 新型コロナウイルスの感染拡大防止による緊急事態宣言の解除後、6月からは無観客+配信という形で徐々に演劇がスタートし、6月末にはソーシャルディスタンスを保つために客席を減らしながらも観客を入れての公演もスタートした。

 そんなコロナ過のまだまだ手探りの状況の中、劇団かもめんたるがこの時代ならではの作品を創りあげた。

 劇団かもめんたるは2013年にキングオブコントで優勝したお笑いコンビ「かもめんたる」が2015年に立ち上げた劇団。もともと演劇的要素の強いネタが得意な彼らとあって、演劇に進出するのもごく自然な流れではあったのだが、キャストオーディションを開催したり、所属の劇団員も生まれるなどいつの間にか本格的な劇団に成長した。また作・演出の岩崎う大は昨年11月の第8回公演『GOOD PETS FOR THE GOD』が第64回岸田戯曲賞最終候補に選出されるなど、演劇界において着々とその存在感を増している。

 今回は座席数も約50%に抑えての公演。これまで満員の観客を集めていただけにすでに前売りが完売の日も出ているので要注意。また「応援セット」として今公演のTシャツと特別冊子(全14ページ)をセットにして販売中。座席数を削らなければいけない分、文字通りこちらでも応援したいところ。

森山未來と黒木華「ハっとさせたい」12日ライブ配信でシアターコクーン再始動!

2020.07.11 Vol.Web Original

 森山未來と黒木華が共演する舞台『プレイタイム』が12日、渋谷のシアターコクーンからライブ配信される。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で4カ月間休館状態だった同劇場の再始動。岸田國士の戯曲で劇場初となるライブ配信に挑む。

今こそ演劇の力を見せる時!! OFFICE SHIKA PRODUCE『罪男と罰男』

2020.03.06 Vol.728

 劇団鹿殺しの丸尾丸一郎が脚本・演出を務め、2017年にNHKラジオドラマ「劇ラヂ!」シリーズで発表された『罪男と罰男』が舞台化される。

 同作は丸尾自身の経験から着想した、罪と罰の因果を描くお伽噺のようなダークファンタジー。

 物語には「罪を犯す男」と「罰を引き受ける男」の2人が登場する。

「罪を犯す男」森日出男はオレオレ詐欺をしている電話口から「孫に会いたい」と懇願するお婆さんの声を聞いた時に、ふと「思い返せば、いくつの罪を犯してきたのだろう」と思い、自分の罰を引き受けてくれた旧友・山田武男のことを思い出す。そして再会した「罰を引き受ける男」武男は世界中の罰を引き受けて瀕死の状態だった。

 日出男役に映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍する松島庄汰、武男役をラジオドラマ版に引き続き渡部秀が演じる。

 またオフィス鹿の「若手演劇人を応援したい」という思いから3月12日の14時の回は「若手演劇人支援公演」として行われる。チケット料金の特別割引に終演後に丸尾が「演劇の創り方」をテーマにしたトークベントなども開催する。

野田秀樹の戯曲に挑む『カノン』

2020.02.25 Vol.727

 東京芸術劇場では2009年に野田秀樹が芸術監督に就任以来、さまざまな自主企画による作品を上演している。その中に国内外の演出家が野田の戯曲に挑むというシリーズがあるのだが、今回は劇団・快快の野上絹代が『カノン』を演出する。

 同作は2000年にNODA・MAPで上演されたのだが、浅間山荘事件をモチーフとした作品ということもあり大きな話題を呼んだ。作品では思想や理想、人間の本質、若者たちの焦燥感といったものが描かれたのだが、それは20年経った現在でも全く色褪せることはないもの。むしろ現在の日本の国内外で起きている現象や我々を取り巻く環境を鑑みると、今こそ上演する意義のある作品にも思える。

 野上は5年前に東京芸術劇場の共催協力で行われた「演劇系大学共同制作」という企画でこの作品を演出。それを見た野田が「冴えわたった演出に吃驚し、再演をすればさらに磨きがかかるのではないかと思った」と発言。今回のシリーズ企画への抜擢につながったという。

 なお6日の19時には追加公演が決定した。

「ミュージカルみたいな」作品 はえぎわ番外公演『お化けの進くん』

2020.02.19 Vol.727

 2016年には亡き蜷川幸雄氏の遺志を継ぎ『1万人のゴールド・シアター2016』、昨秋の東京芸術祭では74人の出演者による野外劇『吾輩は猫である』の演出を手掛けるなど話題作が続くノゾエ征爾。

 今回はニッポン放送のプロデュースで自ら主宰を務める劇団、はえぎわでの番外公演。ニッポン放送とは2016年の『其処馬鹿と泣く』に続き2度目のタッグとなる。

 本作は「あんまり歌えない人たち」による「小さな空間」での「ミュージカルみたいな」作品で「音階」の概念が分からない男の子・進くんのお話となる。

 SAKEROCKのメンバーであった田中馨率いるバンド「Hei tanaka」から田中、あだち麗三郎、池田俊彦の3人が参加し、生バンドで演奏するのだから「ミュージカル」と言ってもよさそうなものなのだが、あえて「ミュージカルみたいな」というのがノゾエ流。
 2012年に『〇〇トアル風景』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞後の作品は特に観劇後に感じるちょっとした切なさが強めの作品が増えてきた。今回は若干にぎやかめの作品のようだが、果たしてどのような作品に仕上げてくれるのか。

 なお、はえぎわとしては今年はこの公演のみとなるので、古くからのファンには必見の作品となる。

「川村毅劇作40周年&還暦 三作品」その2作目 ティーファクトリー『クリシェ』

2020.01.21 Vol.726

 劇作家で演出家の川村毅にとって2020年というのは劇団「第三エロチカ」を旗揚げして40年、自身の新作戯曲をプロデュースするカンパニー「ティーファクトリー」を立ち上げてからも20年という節目の年となる。

 ということで昨年10月から「川村毅劇作40周年&還暦 三作品」と題して3作品を発表する企画がスタート。今回はその2作目。

 この『クリシェ』は第三エロチカ時代の1994年に「ネオ・グラン=ギニョル三部作」の第一弾として上演された作品。映画『何がジェーンに起ったか?』『サンセット大通り』へのオマージュの色濃い、元女優の姉妹が繰り広げる、文字通りクリシェ(紋切型)なサイコサスペンス。今回は大幅にシンプルに改作し「女優をやめられない」姉妹の老いと向き合う姿をコミカルに描いていく。

 物語の舞台は社会から断絶した中年姉妹が2人きりで暮らしている館。2人は『何がジェーンに起ったか?』のように元人気女優。老いさらばえた姿にもかかわらず、本人たちの間では時は止まったまま。そしてこの館と2人にはなにやら秘密があるよう。

 物語の語り部として登場するのは、この2人の秘密を探ろうと劇作家募集の広告に公募してきた若い劇作家の男。果たして姉妹の秘密とはいったいなんなのか…。

 この元女優姉妹を演じるのは花組芝居の座長であり中心役者でもある加納幸和と川村毅。

 川村が俳優(女優としても)として舞台に立つのは昨今ほとんどなく、かなり貴重な舞台となりそうだ。また金曜の終演後には還暦祝トークが行われる。

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