『ブッカーKが見た激動の時代 UWF、そしてPRIDEの崩壊』【著者】川﨑浩市
昨今、再び日本での格闘技人気が高まってきた。日本の格闘技の夜明けについては佐山サトルの修斗の創設、新生UWFの誕生など諸説あるが、それについてはここではまあどうでもいい。
著者の川﨑浩市氏は新生UWFからプロレス・格闘技業界に関わり、裏方としてその隆盛を支えた人物。その間、業界の表も裏も知り尽くした川﨑氏はやがて“ブッカー”として業界の最重要人物の一人となる。
ブッカーというのは団体に選手を供給する仕事。川﨑氏はPRIDEや旧K-1全盛時には両団体に多くの選手をブッキングし、ファンの間でも“ブッカーK”という異名で名を知られることとなる。
川﨑氏はこれまでさまざまな媒体、書籍でインタビューやコメントという形で過去の出来事を明かしたことはあるが、自らの名前で回想録として発表するのはこれが初めて。
日本のプロレス界と格闘技界の裏側は、その高いドラマ性もあり多くの書籍が発表され、ほとんど出尽くした感はあったのだが、本書ではいわゆる“本邦初公開”の話も多く含まれており、改めてこの業界の底の深さを感じさせる。
かつてのファンには種明かし、最近のファンには歴史の教科書として楽しめる一冊に違いない。
【定価】本体1400円(税別)【発行】双葉社