シェアリングエコノミーの先駆者が語る! 「これからはシェアリングが“インフラ”となる時代」
こんな場所が借りられるの!? というようなユニークな場所のレンタルで注目を集めるスペースマーケット。その目からウロコのアイデアは、現在ではますます広がりを見せ、シェアリングという文化にまで成長している。その仕掛け人といわれる重松氏に話を聞いた。
起業までの経緯を教えてください。
「大学卒業後にNTTに入社し、30歳のころ同期が立ち上げたフォトクリエイトというベンチャーに加わることになりました。フォトクリエイトは、東京マラソンなどのイベントにカメラマンを派遣し、そこで撮った写真をネット上で販売するといったサービスを作り、2013年には東証マザーズに上場しています。私も8年在籍したなかでいろいろな新規事業を立ち上げましたね。その一つがウェディング写真のサービス。実は結婚写真は写真業界のなかでもデジタル化が遅く、式から2?3カ月後にアルバムを新郎新婦に納品するという形が主でした。そこで、式場カメラマンの撮ったデータをすぐアップできて、参加者も購入できるサービスを作ったんです。今では定着して5万?6万組ほどが利用しています。実はこれが、今の会社を立ち上げるきっかけなんです。その時に日本中の式場を営業で回っていて、平日はほとんど利用されていないことに気付いたんです。一方で、当時、自分たちの会社のセミナールームを土日に説明会などに使いたいという人に無料で貸していて、これは有料でも借りる人はいるだろう、と。土日に空いているスペースと、平日に空いているスペースがあって、それぞれ借りたい人がいる。これは、うまくマッチングできれば自分で箱を持たなくてもビジネスになると思ったんです」
起業準備のときに意識したことは。
「とにかく自分の仮説を裏付けるために、とくにアメリカのサービスなどをすごく研究しました。いろいろな社長のインタビューを読んだり、きちんと儲かっているのか調べたり。それは本当にやっておいてよかったなと思います。また、会社の仲間もそのアイデアはいけるよと応援してくれて。今では、ここまで上手くいくとは思ってなかったと言われますけど(笑)。あと私の妻が投資家で、成長業界でもあり、ビジネスとして長くやっていけると太鼓判を押してくれたのも大きかったです。ただ先例のないサービスでしたから、初めのうち何もプロダクトがない状態で物件を集めてくるのは大変でした。最初のうちは結婚式場しかり、前職時代からの知人の協力に助けられました」
デジタルとアナログを堅実に融合させたビジネスモデル。起業して3年で大きな成長を遂げた。
「今後の目標としては2020年までにIPを取り、シェアリングを当たり前の文化として、インフラとしてどれだけ日本の隅々まで浸透させていけるか、目指したいと思っています。我々のビジョンの中に“チャレンジする人を増やす”というテーマがあります。シェアリングエコノミーは自分のものを人に貸したり人の物を借りたり、最初にチャレンジする気持ちが必要。チャレンジする人が増えることで日本全体を少しでも活性化していきたい。業界は現在右肩上がりで、シェアリングエコノミー協会にも約140社ほど加入しています。ジャンルとしてはナレッジやスキルのシェア、クラウドファンディングのようなお金のシェア、あとはウーバーのようなライドシェア、そして場所のシェアなど、あらゆるものが所有から共有、という傾向にあるのではと思います」
日々、起業した醍醐味を感じる。
「フォトクリエイトが上場してから何となく、自分探しみたいなことをしていたんです。千葉県のプロモーション課長に応募してみたり。結局2位で落ちたんですけどね(笑)。今思うと、起業を決意したのは正解でした。もしやりたいことがあるなら、飛び出して見るのもいいと思います。昔よりいいアイデアにはお金や人が集まりやすく、起業のハードルは低くなっています。例え失敗しても大抵は糧になるし、何よりスタートアップに携わることは自分を成長させてくれると思います」
株式会社スペースマーケット
【所在地】〒160-0023東京都新宿区西新宿 6-15-1 ラ・トゥール新宿 608
【URL】 http://spacemarket.co.jp/http://spacemarket.co.jp/
【設立】2014年1月8日
【資本金】2億5374万7150円
【事業内容】お寺、野球場、古民家、オフィスの会議室、お化け屋敷などユニークなレンタルスペースのマーケットプレイスを展開する「スペースマーケット」の運営、イベントプロデュース事業、プロモーション支援事業