二ツ目さん数珠つなぎ【第5回】柳家喬の字「落語の普及活動を生涯続ける事が使命だと思っています」


 真打になって挑戦したい事は?

「落語家らしい滑稽噺も好きなんですけど、以前怪談噺を高座にかけた時に、お褒めの言葉をいただいたので、そういう噺も自分に合っているのかなと。うちの師匠も得意にしていますが、いわゆる滑稽噺ではなく、壮大なストーリーの人情噺ですとか、怪談噺なんかもこれからは積極的にやっていきたいと思っています。また、落語の普及活動を生涯に渡ってやっていきたいです。落語をお好きな方だけではなく、聞いた事がない人、逆にマイナスイメージをお持ちの方にも聞いていただけるような普及活動ですね。企画や構成などプロデュース的な事は得意ですから、それが自分の使命だと思い活動していきたい。いろいろな会を企画し、落語を身近に。いつでも見られる噺家、最も見られる噺家、そして会いに行ける噺家です (笑)。落語って人間の情があふれているんです。談志師匠は“落語は人間の業の肯定だ”とおっしゃいましたけど、こういう人間いるよねって憎めない部分や情にあふれたところが魅力だと思うんです。あとは自分の世界で気軽に楽しめる演芸でもありますし、ぜひ多くの方に楽しんでほしい。落語には噺家の人間性が出ます。“芸は人なり”。そこもぜひ見ていただきたいですね」


 落語の普及活動を生涯続けていくという喬の字。手始めに落語初心者はどうすればいいですか?
「寄席やホール落語に行くのはハードルが高いと感じている方は、「ひるま寄席」のような近所でやっている会にまず足を運んでいただけたら。その会のメインの落語家と相性が合わなくても、ゲストの落語家と合うかも知れませんし、追っていくうちに必ず好みの落語家に出会えると思います。落語会って、関東だけで1カ月間にどのくらいやっているか知っていますか? 『東京かわら版』という寄席・演芸の専門誌によると月平均で1000件ぐらいやっているそうです。寄席やもっと小さい会を含めれば、それ以上になります。落語にアンテナを張っていたら、そういう小さな会の情報が自然と入ってくるんですね。町内の掲示板に掲示されていることもありますし、よく行く公共施設にチラシが置いてあったり、知り合いが誘われているという話をしていたり。なので、そういうチャンスを逃さず、まずは行ってみて下さい。そこに新しい出会いがあるかも知れませんし、そこからつながって自分の情と合う人が必ず現れると思います」