【インタビュー】浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢の「カメ止め」クリエイター陣がトリプル共同監督『イソップの思うツボ』
(撮影・大野洋介)
中泉「浅沼さんは確かにそういうところあるよね。上田さんはとにかくエンタメというか、お客さんの目線を強く持っていて、見る人をいかに楽しませるかを常に考えているし、映画を見ているときも、笑いにせよスリルにせよ楽しいか楽しくないか、感情が動く瞬間を大事にしている気がする」
浅沼「確かに中泉さんは人の気持ちを大切に描いているのは、演出を見ていても感じる。人情派だから、人物を真正面から見たい、撮りたいという感情が動くんだと思う。僕が上田さんておもしろいなと思うのは、僕は映画にはメッセージ性や社会批判の視点が大事だと思っているんですけど、上田さんは映画にメッセージを込めない(笑)」
上田「まあ、メッセージとかテーマ性は、にじみ出てくるのに任せたいんです。これを言いたい、というメッセージが映画より上にあってはいけない、と思っていて」
中泉「そこがエンタメ性というか、見ている人のことを考えて作ってるんだな、と思う。僕の場合だと、その時その人物がどう考えてどう感じているかが軸になるので、この人物ならここでこんな行動をしないだろう、というふうに理論的に考えていくけど、上田さんは“ここでどうなったらお客さんが楽しいか”という視点を忘れないもんね」
浅沼「確かに中泉さんは人の気持ちを大切に描いているのは、演出を見ていても感じる。人情派だから、人物を真正面から見たい、撮りたいという感情が動くんだと思う。僕が上田さんておもしろいなと思うのは、僕は映画にはメッセージ性や社会批判の視点が大事だと思っているんですけど、上田さんは映画にメッセージを込めない(笑)」
上田「まあ、メッセージとかテーマ性は、にじみ出てくるのに任せたいんです。これを言いたい、というメッセージが映画より上にあってはいけない、と思っていて」
中泉「そこがエンタメ性というか、見ている人のことを考えて作ってるんだな、と思う。僕の場合だと、その時その人物がどう考えてどう感じているかが軸になるので、この人物ならここでこんな行動をしないだろう、というふうに理論的に考えていくけど、上田さんは“ここでどうなったらお客さんが楽しいか”という視点を忘れないもんね」
©埼玉県/SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ
ちなみに、と好きな映画ベスト3を聞いてみると…確かに好みがバラバラ!
中泉「僕は、3本選ぶとしたら…『マイ・ガール』 (1991年) と『ビッグ・フィッシュ』(2003年)と…あと1本どうしよう。新海誠監督作から『雲のむこう、約束の場所』で」
浅沼「僕は自分のオールタイムベストランキングを作っていて、その都度、入れ替えたりしてますからすぐ出ます。2019年7月現在の上位3本、1位は『サンドラの週末』(2014年)、2位は『天国の日々』(1978年)、3位は『泥の河』(1981年)ですね」
中泉「どれも見たことない。やっぱり全然好みが違った(笑)」
上田「僕は3本あげるとまず『パルプ・フィクション』(1994年)…」
浅沼・中泉「上田さん、それ絶対入ってくるよね(笑)」
上田「あとは『ミッドナイト・ラン』(1988年)、 『スティング』(1973年)にしよう。いわゆる痛快エンターテインメントですね」
よく、ここまで好みが異なる3人で共同監督ができたものだが…。
上田「むしろ『パルプ・フィクション』と『ミッドナイト・ラン』と 『スティング』が好き、という3人だったら、逆にやる意味は無いと思います」
浅沼「それに、好みが同じだからこそちょっとした違いでぶつかっちゃうだろうね」
中泉「基本は分かり合えるけど、細かいこだわりが出てくるとお互い譲れないというか、最終的に理解し合えなくなってしまったでしょうね」
上田「やっぱり自分の範囲が似ているとディティールでぶつかるけど、好みのテイストが全然違うから発想がいろいろな方向に広がった。3人とも同じスタイルだったら方向性が狭くなっていたと思うよ」
中泉「おのおの運動しているけどやっているスポーツが違う、という感じかな。だからやりやすかった」
上田」「阪神ファンだけで野球映画を作ったらバイアスがかかりすぎるけど、阪神ファン、巨人ファン、ベイスターズファンで野球の映画を作れば、バランスもとれて、いろんな視点で楽しめる、ということですよね」
まったく好みの違う3監督が横一線で共同監督を務めるという異例の挑戦を経験した3人。お互いに、この先どんな挑戦を期待する?
浅沼「上田さんにはヤクザとかマフィア映画を作ってほしいかな。ちょっと大人なやつ」
上田「ビターなマフィア映画? なるほどね、それはいいかも」
浅沼「中泉さんは山登りが好きだから人情派の山岳映画を」
中泉「好きだけど(笑)。僕は浅沼さんにはサイレント映画をやってもらいたい。上田さんには『カメ止め2』。本当に、早く続編を作ればいいと思うよ」
上田「そうねえ…(笑)。僕は、中泉さんには、人情派監督が人情を抑制される映画製作の話を、自分を投影して作ってみてほしい(笑)。浅沼さんは、プロデューサーから“お前の作家性なんていらないから、とにかくエンタメを作れ!”とか言われて超娯楽映画に挑んだらどういうものができるのか見てみたい。それでも絶対に浅沼さんの作家性は残ると思うんだよね」
3人の次の挑戦も、予測不能!“混ぜるな、危険!”の3監督の個性がさく裂する、ハートフルでスリリングでチャレンジングなエンターテインメント。
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)
中泉「僕は、3本選ぶとしたら…『マイ・ガール』 (1991年) と『ビッグ・フィッシュ』(2003年)と…あと1本どうしよう。新海誠監督作から『雲のむこう、約束の場所』で」
浅沼「僕は自分のオールタイムベストランキングを作っていて、その都度、入れ替えたりしてますからすぐ出ます。2019年7月現在の上位3本、1位は『サンドラの週末』(2014年)、2位は『天国の日々』(1978年)、3位は『泥の河』(1981年)ですね」
中泉「どれも見たことない。やっぱり全然好みが違った(笑)」
上田「僕は3本あげるとまず『パルプ・フィクション』(1994年)…」
浅沼・中泉「上田さん、それ絶対入ってくるよね(笑)」
上田「あとは『ミッドナイト・ラン』(1988年)、 『スティング』(1973年)にしよう。いわゆる痛快エンターテインメントですね」
よく、ここまで好みが異なる3人で共同監督ができたものだが…。
上田「むしろ『パルプ・フィクション』と『ミッドナイト・ラン』と 『スティング』が好き、という3人だったら、逆にやる意味は無いと思います」
浅沼「それに、好みが同じだからこそちょっとした違いでぶつかっちゃうだろうね」
中泉「基本は分かり合えるけど、細かいこだわりが出てくるとお互い譲れないというか、最終的に理解し合えなくなってしまったでしょうね」
上田「やっぱり自分の範囲が似ているとディティールでぶつかるけど、好みのテイストが全然違うから発想がいろいろな方向に広がった。3人とも同じスタイルだったら方向性が狭くなっていたと思うよ」
中泉「おのおの運動しているけどやっているスポーツが違う、という感じかな。だからやりやすかった」
上田」「阪神ファンだけで野球映画を作ったらバイアスがかかりすぎるけど、阪神ファン、巨人ファン、ベイスターズファンで野球の映画を作れば、バランスもとれて、いろんな視点で楽しめる、ということですよね」
まったく好みの違う3監督が横一線で共同監督を務めるという異例の挑戦を経験した3人。お互いに、この先どんな挑戦を期待する?
浅沼「上田さんにはヤクザとかマフィア映画を作ってほしいかな。ちょっと大人なやつ」
上田「ビターなマフィア映画? なるほどね、それはいいかも」
浅沼「中泉さんは山登りが好きだから人情派の山岳映画を」
中泉「好きだけど(笑)。僕は浅沼さんにはサイレント映画をやってもらいたい。上田さんには『カメ止め2』。本当に、早く続編を作ればいいと思うよ」
上田「そうねえ…(笑)。僕は、中泉さんには、人情派監督が人情を抑制される映画製作の話を、自分を投影して作ってみてほしい(笑)。浅沼さんは、プロデューサーから“お前の作家性なんていらないから、とにかくエンタメを作れ!”とか言われて超娯楽映画に挑んだらどういうものができるのか見てみたい。それでも絶対に浅沼さんの作家性は残ると思うんだよね」
3人の次の挑戦も、予測不能!“混ぜるな、危険!”の3監督の個性がさく裂する、ハートフルでスリリングでチャレンジングなエンターテインメント。
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)
『イソップの思うツボ』
監督:浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢 出演:石川瑠華、井桁弘恵、紅甘他/1時間27分/アスミック・エース配給/ 8月16日(金)より全国公開 http://aesop-tsubo.asmik-ace.co.jp/
監督:浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢 出演:石川瑠華、井桁弘恵、紅甘他/1時間27分/アスミック・エース配給/ 8月16日(金)より全国公開 http://aesop-tsubo.asmik-ace.co.jp/