別所哲也「バーチャルとリアルを絡め“新たな形”で人を集めるエンタメ作りを」【BEYONDコロナ】
《BEYONDコロナ~日本を元気に~》
新型コロナウイルスの影響により劇的なパラダイムシフトが求められることとなった今、各界の有識者に「ビヨンドコロナ」をテーマに話を聞く「BEYOND コロナ」インタビューシリーズ第8回。今回は、俳優としての活躍のみならず、米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA)」の代表として、国内外の映画人からリスペクトを受ける別所哲也が登場。22回目となるはずだった6月の開催が新型コロナウイルス感染症の影響を受け、映画祭史上初の延期を決定。俳優としても、映画祭代表としても前代未聞の壁に突き当たった彼が、いかにコロナを乗り越えようとしているのか。「BEYOND 2020 NEXT FORUM」の発起人メンバーでもある別所哲也に「BEYOND コロナ」のエンターテインメントを語ってもらった。
別所哲也(撮影・蔦野裕)
バーチャルとリアルを絡め“新たな形”で人を集めるエンタメ作りを
「2月上旬くらいまではまだ僕自身、中国の一地方だったりクルーズ船の中で発生している局地的な出来事、という感覚でした。そのときは映画祭を延期しなければならない可能性なんて思いもしていませんでした。それが2月中旬を過ぎたあたりから世界的なパンデミックになり始め、気づけば映画祭に出品する予定の海外クリエイターと連絡が取れなくなったり、家族が陽性になったという話を聞くようになり、これはかなり深刻だぞ、と。それで僕ら映画祭スタッフも2月の下旬から在宅勤務を始めたんです。ついには3月24日、東京オリンピック・パラリンピックの延期が決まり、いよいよこれは映画祭延期に向けてシミュレーションしていかなければ、と我々も覚悟をし始めました。ショートショートは米国アカデミー賞から公認を受けているので主催の映画芸術科学アカデミーや、共催の東京都にも延期についての打診をしたうえで、最終的に延期を決定しまして、4月28日に延期決定を発表しました。
そこからは協賛企業や関係自治体、何よりエントリーしている映画製作者たちとのやりとりに追われていました。延期してどうするか具体的に考えることができるようになったのはゴールデンウイーク前後でした」
俳優としての日常も大きく変化。
「俳優としては、準備していた2つの舞台が中止になるなど多くの仕事が白紙になりました。それでも僕の場合はラジオのレギュラー番組がリモートとはいえ続いていたことで、生活サイクルも保つことができたというかメリハリをつけることができましたけど、まったく仕事が無くなり家にいなければならなかったら、本当にしんどかっただろうと思います。女性だから男性だからというわけではないと思いますけど、僕の妻などは状況の変化にも臨機応変に対応していて、ママ友と集まって支援活動を始めるなど自分からどんどん動いていて、見習わないと…と思いました(笑)。ただ、ステイホームの期間中は、内省する時間も持てたし、何より、いかに人とつながるか、すごく考えるようになりましたね。俳優仲間とも“Zoom飲み会”をして、今後、映画や舞台の制作現場はどうなるんだろうということをあれこれ話したり情報共有をしていました。振り返れば本当に濃厚な毎日だったと思います」