【インタビュー】北乃きい コロナ禍で気づいた喜劇の意味。 シェイクスピア作品で新たな境地を開拓
コロナ禍で気づいた「喜劇の意味」
意外にもプライベートでの好みはドキュメンタリーやノンフィクション。ファンタジーはその世界観になかなか入り込めないのだと本音を漏らす。だが、新型コロナウイルスの感染拡大であらゆる日常が制限された中、ある作品との出会いでその思いは180度変わった。
「2カ月半ずっと『Mr.ビーン』を見ていました。毎晩寝る前に見るのが日課になっていて。“喜劇ってこういうことか”って勉強になりました。私はいつも非現実で生きている分、プライベートでは、よりリアルなドキュメンタリーやノンフィクションを好んで見ていたんです。でも仕事が止まってしまって、あまりにも現実的な世界に置かれたときに、初めて非現実が欲しくなったんですね。それで“私がやっている仕事はこういうことなのか”って思ったんです。きっと公演を見に来てくださる方々は非現実を味わいたくて、ファンタジーを見に行ったり、コンサートに行ったりする。分かったんですよね、意味が。どうして人は舞台を見にくるのか、どうして人はファンタジーが好きなのか。現実逃避できるんですよね。“自分の仕事ってこういうことなのか”と気づきました」