多国籍タウン・新大久保在住作家と歩くパワースポット「東京媽祖廟」とは?

3階の「媽祖殿」にはあらゆるご利益がある「媽祖」が鎮座
 3階の「媽祖殿」には粉面(ピンク顔)の媽祖、黒面(黒い顔)の媽祖、金面(金色顔)の媽祖、千里眼、順風耳、五営将軍が鎮座。「媽祖」はそれぞれが中国や台湾の寺院からの分霊で、「千里眼」「順風耳」は遠くの景色を視認したり音を聞き分けたりできる能力を持つ随神だ。「媽祖」には家内安全や交通安全、旅行安全だけでなく心願成就、商売繁盛、合格成就などあらゆるご利益がある。

 4階の「観音殿」は観音、準堤菩薩、孔雀明王菩薩、薬師如来、地蔵王菩薩、虎爺将軍が鎮座している。この階には仏像や地蔵などがおり、熱心な仏教徒が国籍を問わず訪れる。私たちが訪問した際にもひざまずいて静かに祈りを捧げる信徒の姿が見られた。ちなみに足元に佇む虎の姿の「虎爺将軍」は金運がつくともいわれ、多数の賽銭が供えられていた。ふと窓の外を見やると、建立中の新館の屋根飾りが見える。「東京媽祖廟」の神様やこうした飾り細工などはすべて台湾で造られてから、海を渡ってはるばる日本に運ばれているという。

 日本では横浜と新大久保にしかない「媽祖廟」。なぜ新大久保のこんな場所に? と疑問に思っていると、室橋さんが「代表の連昭恵さんによると夢に媽祖様が現れて、彼女のビジネスの成功と、その財産で廟を建てるよう告げられたそうです。新大久保という場所も媽祖様が決めたといいます」と教えてくれた。何とも摩訶不思議な話だが、「東京媽祖廟」が新大久保に根ざし、近隣の人々を優しく見守っていることは確かだ。あらゆる苦難に応える神として信仰を集める「媽祖」の存在は、コロナ禍で海外に在住する人々にとっても心強いことだろう。
4階は仏像や地蔵などがおり、熱心な仏教徒が国籍を問わず訪れる