DJ KOO「小児がんがどれだけ社会的な支援を必要とするか知ってほしい」<2月15日は国際小児がんデー>



――今年も国際小児がんデーに「LIVE EMPOWER CHILDREN 2021」が開催されます。DJ KOOさんはTRF として出演されますが、以前からこの活動にご興味があったのですか?

DJ KOO:小児がんについては、身近にそういう方がいたり、ドキュメンタリー番組を見たりして、少しですが、知っていました。お子さん、ご家族の方、医療従事者の方々が、ひとつになって、病に立ち向かう姿を拝見すると……自分も娘がいますしね、胸に響きます。何かしたい、何か僕にできることはないかと思っていましたので、このライブを通じて、小児がんで苦しんでいるお子さま、ご家族の方々に、1人じゃないよ、みんないるよ、一緒に頑張っていこうねって、そういう想いを伝えていきたいと思っています。

広津:伝わってほしいですね。小児がんの子どもたちはもちろん、ご家族、それ以外の人たちにも。今年はオンラインでの開催ですから、たくさんの人たちに見ていただけます。

DJ KOO:そうですね。まずは、2月15日が国際小児がんデーだってことを知ってもらいたい。そういう日だからというのがきっかけでいいので目を向けてもらうことが大事です。小児がんについて、先ほど広津先生もおっしゃいましたが、この病気がどれだけ社会的な支援を必要とするかというところを知ってもらえたらと思います。

――イベントにはたくさんのアーティストが出演しますが、TRFはどんなステージを考えていらっしゃいますか?

DJ KOO:TRFの楽曲、TKサウンドって、大人も子どもも、いろんな世代の人たちを元気にしたり、前向きにしていくダンスミュージックだと思います。子どもたちはもちろん、ご家族の方にもリラックスしてほしいし、楽しんでもらいたい……2時間でも3時間だけでもね。僕らはそういうライブにしたいです。

広津:楽しい気持ちになるというのはいいことです。免疫力もあがりますし、治療のためにもいいですから。

DJ KOO:そうですよね!  病と戦い続ける生活はどうしても苦しくなります。病気と戦う子どもたち、彼らをそれぞれの立場で支えていらっしゃるご家族や周りの大人たち、みんなの気持ちが僕らの音楽で少しでも楽になったならって思います。

――コロナ禍で、DJ KOOさんもオンラインでエンターテインメントを届けています。積み重ねてきた経験が、このイベントにも生かされるのではないでしょうか?

DJ KOO:そうですね。いろいろな配信をやっているなかで『3分拍手』というのがあるんです。医療従事者の方々に感謝のエールを贈ろうって、毎週金曜の20時から3分間、コメント欄を拍手でいっぱいにするんです。それがSNSで拡散されて医療従事者の方から感謝の言葉が届いたりしました。このイベントでも、そうしたつながりを作り出していけるんじゃないかと思います。



――少し話題を変えて、小児がんと診断される子どもたちは年間2000~2500人いるとのこと。小児がんにどう対抗しているのか、そこで私たちに何かできることがあるのかをお聞きしたいです。

広津:小児がんと診断される割合を考えてしまえば多くはないと感じられるかもしれませんが、子どもが亡くなる理由としては上位です。それだけの子どもたちが毎年、不安な想いを抱え、ご家族も心を痛めます。ただ、小児がんは、早期発見ができれば治りやすいといわれていますので、早期発見を実現することもまた、小児がんの子どもたちやご家族を手助けすることだと考えています。以前は治らないと言われた人を名医が直すのが医療でしたが、今は予防すること、早期発見するほうがたくさんの命を救えるという考え方に変わってきています。ただ、その技術が進んでいないところがある。小児がんの検査もそのひとつ。今、小児がんの検査ってないんですよね。

――改めて聞くと驚きますね。

広津:既存のがん検査は、マンモグラフィーのような辛い思いをして受けたり、時間がかかったりするものが多いです。子どもも、もちろん大人も、もっと気軽に楽にできるなら、検査にも積極的になれると思いますし、それが早期発見につながります。これは私が取り組んでいることになりますが、一滴の尿でがんのリスクが調べられる「N-NOSE」という検査を開発しました。現在は小児がんの臨床研究も始まっていますので、これがいつか毎年1回とか半年に1回とか定期健康診断を受けるのと同じようになれば、早期発見が実現すると考えています。それもまた、支援のひとつだと思うんです。

DJ KOO:早期発見の大切さはよく分かります。僕は3年前に脳動脈瘤が見つかったんですが、それもテレビ番組の人間ドックスペシャルでした。すぐ手術しなければいけない状況の中、大事に至る前に手術ができて、今があるんです。僕はがん家系なのもあって、以前家族で「N-NOSE」を受けさせていただいたことがありますが、あれからしばらく経っているし、そろそろ受けてみようかな……。

――お話を聞いていると、小児がんの話とはいえ、自分にもつながってくる話だと感じます。そうした思いも感じながら「LIVE EMPOWER CHILDREN 2021」を楽しみたいと思います。最後に読者に向けて、一言ずつメッセージをいただけないでしょうか。

広津:ひとりでも多くの方に見ていただきたいです。それが、小児がんの子どもたちの支援につながりますので、支援をぜひお願いしたいですね。

DJ KOO:小児がんで不安な毎日を過ごしている皆さんに、ぜひとも、エンターテインメントの力、音楽の力で、元気な気持ちになっていただけたらと思います。出演するアーティスト、イベントに関わるスタッフも、みんなが同じ気持ち、ワンハートで集まっています。その想いや願いが画面越しで伝わると思います。

――ありがとうございました。


(聞き手、TOKYO HEADLINE 酒井紫野)