亀田誠治「音楽でみんなを、なだらかに包みたい」 日比谷音楽祭 2021への思い
アーティストも同じだ。昨年の開催中止を経て、多くのコンタクトがある。
「さまざまなジャンルの素晴らしいアーティストをできる限り見てほしいので、タイムテーブルを作っていても2日間に収まらないくらいです。そういった意味でもニューヨークの『サマーステージ』のように継続開催が必要なんですよね」
開催まで1カ月を切り、準備も総仕上げの段階。「まずは安全に開催できること」と強調する。その上で、「みんなを音楽でなだらかに包みたい」と話す。
「この1年で感じているのは、人と人との心の距離が離れてしまっていることなんです。人にはそれぞれの立場や思い、生活があり、考え方や感じ方があります。前からだったのかもしれないけれど、コロナ禍によっていろんなものがバラバラになってしまった。今こそが音楽やエンターテインメントの出番です。不寛容だったり不確かだったり、“不”がつく言葉や雰囲気が蔓延する中で、音楽のチカラで、さまざまな考え方や感じ方をなだらかにつないでいきたい。音楽でなだらかに包んでいきたいです。少しでも心の距離や社会的な距離、もやっとして生きづらい空気を和らげることができるんじゃないかなって」
コロナ禍の時代に漂う不寛容さや生きづらさは、ジェンダーや主義主張、たばこの好き嫌いだって包含する。多様性とともにあるこれからに「共生する」という選択肢を加えるのが『日比谷音楽祭』であり、音楽のチカラかもしれない。