すべての人がマイノリティ。障害と健常のあいだを探る500日間のドキュメンタリーで見えたもの
誰もがフラットな関係
―colorsには障害・性別・国籍を問わず、さまざまな人が訪れるとのことですが、参加者同士ではどのようにコミュニケーションを取っているのでしょう。
石川悧々代表(以下、石川):年間のべ1000人ほどが訪れるうち、障害のある方は400人ほどです。店内に磁気ループを設置し、音声を文字に変換するアプリを使って飲み会をしているので、聾者の参加もあり、飲み会が手話教室のようになることもあります。コロナ以前は、料理教室をやったり、落語やトークライブ、音楽ライブもやったりしていました。料理教室では、手が動かない人が、包丁を口に加えて玉ねぎをみじん切りにしていて、“すごいな”って。何でもありなんです。colorsの特徴は、参加者の中に、障害者を助けることを目的に来ている人が1人もいないんですね。イベントを楽しみたいという純粋な思いでみんな集まっています。そこにたまたま障害者やLGBTがいるというだけで、誰もがフラットに参加しています。もちろんできないことや苦手なことはあるので、集まった人同士がお互い手伝ったり助けたりしますが、その助け合いというのは障害の有無に関わらず、人間なら誰でもあることです。分断が進む社会で、あるべき姿なのかなと思ったりします。
石川:あと、参加する人になんとなく役割をお願いすることを大事にしています。私自身がそうなのですが、1人でイベントやパーティーに行って、何もやることがないと「壁の花」みたいになっちゃう。進んで話しかけたりできないし、全然楽しめないというか。colorsは、初参加の人でも参加しやすい雰囲気を作ろうといつも考えていて、例えば椅子並べをやってもらったり、参加者の人数を数えてもらったり、手話を教える役をやってもらったり。みんながcolorsの一員であるように心掛けています。誰もが必要とされているものがあるといいなと思っています。