福田峰之×SUGIZO スペシャル対談 「水素社会」の実現で未来が変わる。

撮影・蔦野裕

横浜から「水素社会」を実現する福田の構想

――水素燃料は、今後の社会でどのように生かされていく可能性があるのでしょうか。

福田:LUNA SEAの水素コンサートを経て、得た構想もあります。車の確保や用意が大変で、その運搬状況で、コンサートの運営に支障が出てしまうこともある。そこでコンサートをする人はみんな、脱炭素・水素コンサートをすることができるんです。会場そのものが脱炭素会場になっていれば、そこで行われるイベントは当たり前のように水素コンサート、水素イベントを行えるんです。横浜には横浜アリーナという大きなアリーナや横浜文化体育館もありますから、スポーツや文化イベントが行われる施設には、積極的に定置型燃料電池を設置していくことで、ニューノーマルなエンタメ現場ができていくのではないかと思っています。

SUGIZO:いち市民である僕からすると、街や行政が意識改革してくれるのは心強いです。福田さんが市長選に出馬予定の横浜市は、日本でも影響力の強い政令指定都市。福田さんが市長に就任なさることで、日本のエネルギー問題に対する姿勢が変わるのではないかという期待もあります。

福田:例えば横浜市には、燃料電池車が16台あるんですよ。市役所が開いていない週末や、夜間の時間などはそれらを生かすのもいいなと思っています。トータルな意味で、環境に優しい横浜を作っていきたい。どこかがやらないと誰もやらないし、それが横浜であればいいなと思っています。

――水素社会の実現のために、今後どんな活動をしていきたいですか?

SUGIZO:僕はやっぱりミュージシャンなので、エンタメや音楽の現場で使われる電気が水素燃料になっていくのはうれしいですね。音に深く関わる場では、水素燃料電池は間違いなくそのクオリティーを上げてくれます。水素が作るニューノーマルを、僕が大きく発信していければと思います」

福田:行政として関われる部分から水素エネルギーのニューノーマル化を推進していきたいです。横浜市が持つ市営バスや市営電車、ゴミ収集車などは燃料電池車に置き換えていきたい。特に電車は終点に水素充填ポートをおいておけば、パンタグラフの設備もいらなくなるし維持費もかからなくなります。

SUGIZO:なるほど。街の外観も美しくなりそうです。

福田:例えば市営のバスが燃料電池車に変わることは、災害対策にもつながると思っています。災害時の緊急避難所で発電ができ、電気を供給することができるんです。バスくらいのサイズになると、数日は電気の供給がまかなえます。「当たり前の変革」を横浜市が先駆して行うことで、横浜の企業、ひいては日本の企業全体がどんどん変わっていけばいいなと思っています。

SUGIZO:僕も普段から燃料電池車に乗っているんですけど、やっぱりインフラがまだまだ整っていないなと感じます。公共交通機関が水素燃料に切り替わっていくことで、インフラも整っていくのではという期待もありますね。

福田:災害大国である日本が、日本が誇る燃料電池車を使って災害に備えるということは、自動車という存在に新しい付加価値を与えます。世界にも通用していくアイデンティティとなるはず。

SUGIZO:まったく同意します。日本は災害大国ですから、生活の中で常に被災した時のことを念頭においておくべきです。地球温暖化も、その要因の一つです。生活の中で常に、被災したことを念頭において生活しなければということを考えると、発電ができて電気を供給できる燃料電池車は使い勝手がいい。

3.11以来、エネルギー問題に対して社会的意識があるアーティストの存在がぐっと浮き彫りになりました。世の中を安全な方向に導こうという思いのあるアーティストたちと一緒に、発信活動を続けていきたいですね」

 

(聞き手・構成、ミクニシオリ)

<福田峰之>
1964年・東京都目黒区に生まれ、横浜市青葉区で育つ。立教大学社会学部を卒業後、横浜市会議員(2期)、衆議員議員(3期)を務める。2013年、自民党IT戦略特命委員会の事務局長としてIT政策の実務を担い、サイバーセキュリティ基本法、官民データ活用推進基本法等の議員立法を策定。水素エネルギー政策の基礎を築く。2015年、マイナンバー担当内閣府大臣補佐官。2017年、内閣府副大臣として、IT政策、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、沖縄及び北方対策、海洋政策・領土問題、防災、クールジャパン戦略等を担当。2018年より多摩大学ルール形成戦略研究所にて、客員教授に就任。

<SUGIZO(スギゾー)>
作曲家、ギタリスト、ヴァイオリニスト、音楽プロデューサー。 日本を代表するロックバンドLUNA SEA、X JAPANのメンバーとして世界規模で活動。同時にソロアーティストとして独自のエレクトロニックミュージックを追求、更に映画・舞台のサウンドトラックを数多く手がける。昨年、サイケデリック・ジャムバンド SHAGを12年振りに再始動。音楽と平行しながら平和活動、人権・難民支援活動、再生可能エネルギー・環境活動、被災地ボランティア活動を積極的に展開。アクティヴィストとして知られる。


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