根木慎志「2度目の東京パラリンピックは、 世界に何を伝えられるか」

根木慎志(撮影・蔦野裕)

多様性を「自分ごと」にするとき

「ダイバーシティ&インクルージョン」の考えがグローバルスタンダードとなる中で、オリンピック・パラリンピックを契機に私たちはどのような気づきを得ていくべきだろう。

「自分ごととして考えてきている点は変わってきていると思います。ロンドン大会では、パラリンピックが過去最高のチケット販売数を記録したり、テレビ局の盛り上げが話題になったりした一方で、結果として、障害者差別や偏見は増えたというデータもあります。もちろんスポーツの祭典なので、アスリートのすごさや迫力を知ろうという点では大成功したけれど、本来の“多様性”はどうか。IOCの理念は、“パラリンピックムーブメントを通じて、インクルーシブな社会を創出すること”なんですね。僕の言葉で言うと“誰もが違いを認めて、素敵に輝く社会”です。世の中は違いに満ちあふれていて、その違いの一つが自分であるし、“互いに認める”とはどういうことなのかを、本当にみんながこの大会をきっかけに、自分ごととして考える。オリンピック・パラリンピックがそのスタートラインだと思いますね。東京はもともと地方や世界からいろいろな人が集う場所で、ポテンシャルがある街です。みんながその“多様性”に気づく機会として、“いよいよ時が来たな”と思っています」

(TOKYO HEADLINE・丸山裕理 )

根木慎志…日本財団パラリンピックサポートセンター 推進戦略部 あすチャレ プロジェクトディレクター。36年間に3600回以上、全国の小・中高等学校、企業に向けて「出会った人と友達になる」をキーメッセージに延べ80万人に向けて講演を行う。この活動を評価され2016年、法務大臣表彰状(ユニバーサル社会賞)を受賞。またリオパラリンピック、平昌パラリンピックではNHKにてゲスト解説を務める。2020東京パラリンピック大会を契機に誰もが素敵に輝く社会を目指して活動中。
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