大河ドラマ『青天を衝け』は明治編へ 吉沢亮「本領発揮の渋沢栄一を見て!」
パリで、「おかしれぇ」ことにたくさん触れて帰国。自らの次の一歩を踏み出す方向を定めた。
「みんなで幸せになるという、今まで自分が思っていた形を見つけたんだと思います。ただ、自分がやりたいこと、やるべきことが明確に見えたことで難しさも生まれて来て、大変だったろうと思います」
その結果、栄一は「大人になっていく」という。吉沢はどうアプローチしているのか。
「これまでの栄一は自分が正しいと思うことを全力でやり、相手が誰だろうが突き進んでいきました。明治新政府で働くようになってからは、自分が正しいと思うことに突き進むのは一緒ですが、そこに至るために、自分の道理と外れたこと、何かを切り捨てるみたいなことをするようになります。ちょっと“汚さ”を覚える栄一というのを意識しながら演じています」
和から洋へ。演技にも変化が出ていると話す。
「服装もそうですし椅子とか周りの佇まいが変わって急に現代っぽくなって、なんか恥ずかしいとうか。ここまで和に慣れてくると、現場では塩梅が難しかったりして、大変なことが多いです。……とはいえそんなに変えているわけではいないんですけどね」
さらに「セリフが難しい」と吉沢は声を大きくする。
「経済の話になってくると何を言っているのかちんぷんかんぷん。単語自体も聞きなれなかったり、言いなれなかったりするので」
それでも「刺激はすごい」という。
「話が進むにつれて、関わっていく人物がどんどん変わるんです。栄一自身も年を重ねて回り道をしながらも成長していきますから、僕自身も成長しなければいけない。なかなかクオリティ高いことを求められているなって思います」
大隈重信、伊藤博文、三野村利左衛門に、岩崎弥太郎……色濃い人物たちばかりだ。
「今まではわりと栄一が変人で、周りがそれにふりまわされている感じでしたが、逆に明治は変人ばっかりで、栄一が振り回される事が多い。特に誰がということはないのですが、やっぱり1人あげるのであれば岩崎弥太郎さんかな……なかなか強烈な出会いだと思います。岩崎さんは力を持っている者がどんどん前に進んでいくべきだというけれど、栄一はみんなで進んで行かないと意味がないと考える。目的へのアプローチ方法は真っ向から対立しているのに、実は目指している場所、理想とする世界の形は一緒なんです」
その弥太郎を演じるのは中村芝翫だ。
「威圧感とか、すごいです。歌舞伎役者さん特有の間であるとか、声の出し方とか、ただものじゃない感があります。弥太郎の野心にあふれている感じがピッタリだなと思いました」