「女性の社会進出」はもう古い?これからの幸せな働き方を考える

「女性活躍」「ジェンダー平等」が謳われて久しいが、いま改めて持ちたい視点とは。

性はグラデーション

安藤:なぜそう思うのかというと、今こそ、生物学的な「男女」の意識ではなく、「性はグラデーションなんだ」という話が大事だと感じているんですね。

例えば、私は生物学的には女性ですが、幼い頃は、女の子の変身漫画やラブストーリーより『週刊少年ジャンプ』が大好きでした。『ジョジョの奇妙な冒険』や『ドラゴンボール』に血をたぎらせていた子どもだったんです。一方で、男の子でも、少女漫画が好きとか、料理やファッションが大好きという子もいますよね。今はなおさら中性に寄っている子も多い。つまり、男女で区分することがもう違和感になってきているんです。それなのに、現状はそうもいかない。とりわけ女性は「女性だからこうしなければ」と、必ず子育てとの両立が課題として出てくる。すごくおかしいと感じているんです。

齋藤:そうですね。私自身も結婚・出産を経た後、「日本では働けないかも」と思ってしまいました。中国では、同級生を見ていると、子育てがキャリアに影響を及ぼすことはあまりないんですね。それは、子育てのために、自身の両親や、住み込みのベビーシッターさんに頼ることが、お金持ちだけでなく、一般家庭でも割と普通のことだからです。でも、日本で出産する時には、誰も手伝ってくれる人がいませんでした。中国のように、住み込みで子どもの面倒を見てくれるような職業の方はいなかったですし、「子どもは母親が見るべき」という社会的な風潮もあったと思います。実際、1年半くらいは仕事復帰ができず、子育てに疲弊して、周りと比べて「なぜ自分だけが」と思うこともありました。今思えば、産後うつだったのかな。日本で子育てをする女性は「自分でやらなければ」と、孤立しがち。女性が働きにくい課題だと思います。