コケ愛好家・藤井久子さんに 聞く「コケめぐり」の魅力

藤井さんが撮影した無性芽をつけたホソバミズゼニゴケ

 コケめぐりの持ち物は霧吹き、10〜20倍のルーペ、接写機能のあるカメラ、ポケット図鑑や筆記用具など。ルーペをのぞかせてもらうと……。

「素顔はこんなコケだったんだなというのがよく分かりますよね。遠目だとすべて同じように見えますが、実際は1カ所に数種類のコケが生えているんです。このお寺に生えているホソバミズゼニゴケは、今は普段と違う姿で無性芽といって自分のクローンを作るために切れ込みが入っています」

 わざわざ旅行に行かなくても、身近な場所で楽しめるのが「コケめぐり」。

「コロナ禍で遠出できない時は、近くにあるコケをゆっくり観察する時間が多かったですね。コケは気に入った場所以外ではすぐ枯れてしまうのですが、反対に気に行った場所で1〜2年くらいすると群落としてまとまりができることもある。コケも生きている植物で、時間を追うごとにもふもふしていくものなので、たとえばなじみのコケを見つけて、時々気にして見てみるとだんだん変化が見えてきます。すごく身近で小さな生き物なので、時間をかけてじっくり見てみてほしいです」