青柳翔 最新主演映画『たたら侍』で向き合った“本当の強さ”とは—。
劇団EXILEで活躍する青柳翔の最新主演作は、『渾身 KON-SHIN』に続く錦織良成監督との再タッグとなる時代劇『たたら侍』。日本古来の製鉄法“たたら吹き”を題材に“真の侍スピリッツ”を描き海外映画祭でも絶賛されている本作を、主演・青柳翔が語る!
サムライのまなざし。
僕にとって“たたら侍”とは、英雄ではなくとも失敗を乗り越え何かを成し遂げた人、かな。
「この作品を撮影したのが大体2年前になるんですが、ついに公開されると思うと…。長かったような短かったような(笑)」
青柳翔の最新主演作となるのは、出雲の地に古くから伝わる製鉄法“たたら吹き”の技法を受け継ぐ定めを持つ青年の成長を描く時代劇。
「『渾身 KON-SHIN』のプロモーションをしていたときに、錦織監督から次は時代劇を一緒にやれたらいいね、と言っていただいていたんです。島根の奥出雲には、たたら吹きという独自の製鉄技術が伝わっていて、それで作られた鉄は非常に純度が高く、現代の技術でも追いつかないくらいなんだ、と。そのたたら吹きにまつわる物語を時代劇でやってみたいんだよね、と熱く語っていらっしゃっていて。その話を聞いたときは、僕もたたら吹きのことは何も知らず、ジブリ作品で見た程度のイメージしか持っていなくて。時代劇ということなら所作や殺陣のトレーニングをやっておかないと、というようなことを考えていました」
ところが本作は並みの時代劇とは一線を画すものだった。しかも青柳演じる主人公・伍介は、タイトル通り侍なのかと思いきや…。
「侍ではなく、侍に憧れている農民なんです」
時は戦国の世。秘伝のたたら吹きによって幻の出鐵鋼(いづものはがね)を作り出す村。伍介は、たたら吹きを取り仕切る“村下(むらげ)”という役目を担う家に生まれながらも農民の無力さに悩み、侍になろうと村を出るのだが…。
「伍介は侍になろうとして失敗し、村に戻るんですが、そこでもまた選ぶべき道を間違えてしまう。一般的な時代劇や侍という言葉から想像するような、敵に立ち向かって悪を倒すヒーロー的な主人公ではないんです。何度も失敗し苦悩しながら自分の定めと向き合っていくという、難しい役どころでした」
本作で描かれるのは運命に立ち向かおうとする普遍的な人間たちの物語。何百年という時に隔てられながらも、その姿が真に胸に迫る理由の一つに“本物”を追求した映像、美術があげられる。第40回モントリオール世界映画祭では見事、最優秀芸術賞を受賞した。
「たたら吹きのシーンは実際に伝わる技法を再現して、玉鋼も作りました。玉鋼って本当にきれいなんですよ。ただの銀色じゃなくて虹色に光っていて。純度が高いのですごく重いです。あと、出雲の山のほうに、たたら村のオープンセットを建てたんですが本当に村で暮らせるんじゃないかというくらいよく作られているんです。村から辺りを見回せば人工物が見当たらないほどの自然が広がっていて、その景色も出雲ならではですね。鰐淵寺という古いお寺でも撮影させていただいたんですが、そこでスモークを炊いて霧の演出をしたところ、本当に神秘的な光景になりました。あのような場所で映画を撮影させていただけて本当に感謝しています。あの場所に立つと自然と、たたらの村に生まれてきた人間としてなじむことができました」
『渾身』そして本作を経て、島根と深い絆を結んだ青柳。
「地元の方が本当に温かいんですよ。今回も現場に差し入れをしていただいたり。僕は地方ロケが好きなんです。地域のおいしいものに出会ったり、その土地を歩いたり、地元の人々と交流したり。地方での仕事はいつも楽しみにしています」
昨年秋には岡山県で行われたラジオの公開収録イベントにも登場。
「あの時は久しぶりに監督ともじっくりお話ができたこともあり、すごく楽しかったです。まだ公開はかなり先なのに、岡山の皆さんが映画をすごく楽しみにしてくださっているのも伝わってきましたし。ああいう機会を通して、たたら吹きのことを少しでも知ってもらえたなら、それもうれしいです。映画を見て、そういう伝統を守っていかなくてはと思う人もいるだろうし、自分が受け継ぎたいという人も出てくるかも(笑)」
武士とは何かを体現する侍・尼子真之介役のAKIRA、伍介の幼なじみ・新平役の小林直己といったEXILEの仲間たちに加え、父・弥介役の甲本雅裕、老獪な商人・与平役の津川雅彦ら、ベテラン俳優陣とも真正面から芝居をぶつけ合う。
「甲本さんとは前作でもご一緒させていただいているんですが、現場では僕を役名で呼んでくださって“伍介の好きなように演じたらいい”と大きく受け止めてくれて本当に助けていただきました。津川さんや奈良岡朋子さんに食事に誘っていただいて、いろいろなお話が聞けたことも勉強になりました」
映画主演も本作で4作目。
「自分ではまだまだだと思っています。もっといろいろな人や作品と出会って成長しないと。作品ごとに初めて知ることが本当に多いんです。それほど勉強好きではないんですけど(笑)、自分なりに調べたり本を読んだり。そうして作品と向き合うことで少しでも人として役者として成長していければ、と。今では、たたら吹きや玉鋼のことも熱く語ることができますから(笑)」
昨年は本格歌手デビューも実現。
「『HiGH&LOW』プロジェクトがきっかけで歌を出すことになったんですけど、すごく昔に抱いていた夢がふいに実現したような驚きでした。デビューしてからずっと役者をやっていたからこそ実現できたことだと思います。これが一度夢をあきらめた人へのエールにもなればいいなと思うし、役者としてもこういった経験が幅を広げることにつながればいいなと思っています」
作品を通じて人の思いを知り、成長することが役者の醍醐味、と青柳。日本の伝統に込められたサムライの思いを通して、また一歩、前へ進んだようだ。
僕にとって“たたら侍”とは、英雄ではなくとも失敗を乗り越え何かを成し遂げた人、かな。
「この作品を撮影したのが大体2年前になるんですが、ついに公開されると思うと…。長かったような短かったような(笑)」
青柳翔の最新主演作となるのは、出雲の地に古くから伝わる製鉄法“たたら吹き”の技法を受け継ぐ定めを持つ青年の成長を描く時代劇。
「『渾身 KON-SHIN』のプロモーションをしていたときに、錦織監督から次は時代劇を一緒にやれたらいいね、と言っていただいていたんです。島根の奥出雲には、たたら吹きという独自の製鉄技術が伝わっていて、それで作られた鉄は非常に純度が高く、現代の技術でも追いつかないくらいなんだ、と。そのたたら吹きにまつわる物語を時代劇でやってみたいんだよね、と熱く語っていらっしゃっていて。その話を聞いたときは、僕もたたら吹きのことは何も知らず、ジブリ作品で見た程度のイメージしか持っていなくて。時代劇ということなら所作や殺陣のトレーニングをやっておかないと、というようなことを考えていました」
ところが本作は並みの時代劇とは一線を画すものだった。しかも青柳演じる主人公・伍介は、タイトル通り侍なのかと思いきや…。
「侍ではなく、侍に憧れている農民なんです」
時は戦国の世。秘伝のたたら吹きによって幻の出鐵鋼(いづものはがね)を作り出す村。伍介は、たたら吹きを取り仕切る“村下(むらげ)”という役目を担う家に生まれながらも農民の無力さに悩み、侍になろうと村を出るのだが…。
「伍介は侍になろうとして失敗し、村に戻るんですが、そこでもまた選ぶべき道を間違えてしまう。一般的な時代劇や侍という言葉から想像するような、敵に立ち向かって悪を倒すヒーロー的な主人公ではないんです。何度も失敗し苦悩しながら自分の定めと向き合っていくという、難しい役どころでした」
本作で描かれるのは運命に立ち向かおうとする普遍的な人間たちの物語。何百年という時に隔てられながらも、その姿が真に胸に迫る理由の一つに“本物”を追求した映像、美術があげられる。第40回モントリオール世界映画祭では見事、最優秀芸術賞を受賞した。
「たたら吹きのシーンは実際に伝わる技法を再現して、玉鋼も作りました。玉鋼って本当にきれいなんですよ。ただの銀色じゃなくて虹色に光っていて。純度が高いのですごく重いです。あと、出雲の山のほうに、たたら村のオープンセットを建てたんですが本当に村で暮らせるんじゃないかというくらいよく作られているんです。村から辺りを見回せば人工物が見当たらないほどの自然が広がっていて、その景色も出雲ならではですね。鰐淵寺という古いお寺でも撮影させていただいたんですが、そこでスモークを炊いて霧の演出をしたところ、本当に神秘的な光景になりました。あのような場所で映画を撮影させていただけて本当に感謝しています。あの場所に立つと自然と、たたらの村に生まれてきた人間としてなじむことができました」
『渾身』そして本作を経て、島根と深い絆を結んだ青柳。
「地元の方が本当に温かいんですよ。今回も現場に差し入れをしていただいたり。僕は地方ロケが好きなんです。地域のおいしいものに出会ったり、その土地を歩いたり、地元の人々と交流したり。地方での仕事はいつも楽しみにしています」
昨年秋には岡山県で行われたラジオの公開収録イベントにも登場。
「あの時は久しぶりに監督ともじっくりお話ができたこともあり、すごく楽しかったです。まだ公開はかなり先なのに、岡山の皆さんが映画をすごく楽しみにしてくださっているのも伝わってきましたし。ああいう機会を通して、たたら吹きのことを少しでも知ってもらえたなら、それもうれしいです。映画を見て、そういう伝統を守っていかなくてはと思う人もいるだろうし、自分が受け継ぎたいという人も出てくるかも(笑)」
武士とは何かを体現する侍・尼子真之介役のAKIRA、伍介の幼なじみ・新平役の小林直己といったEXILEの仲間たちに加え、父・弥介役の甲本雅裕、老獪な商人・与平役の津川雅彦ら、ベテラン俳優陣とも真正面から芝居をぶつけ合う。
「甲本さんとは前作でもご一緒させていただいているんですが、現場では僕を役名で呼んでくださって“伍介の好きなように演じたらいい”と大きく受け止めてくれて本当に助けていただきました。津川さんや奈良岡朋子さんに食事に誘っていただいて、いろいろなお話が聞けたことも勉強になりました」
映画主演も本作で4作目。
「自分ではまだまだだと思っています。もっといろいろな人や作品と出会って成長しないと。作品ごとに初めて知ることが本当に多いんです。それほど勉強好きではないんですけど(笑)、自分なりに調べたり本を読んだり。そうして作品と向き合うことで少しでも人として役者として成長していければ、と。今では、たたら吹きや玉鋼のことも熱く語ることができますから(笑)」
昨年は本格歌手デビューも実現。
「『HiGH&LOW』プロジェクトがきっかけで歌を出すことになったんですけど、すごく昔に抱いていた夢がふいに実現したような驚きでした。デビューしてからずっと役者をやっていたからこそ実現できたことだと思います。これが一度夢をあきらめた人へのエールにもなればいいなと思うし、役者としてもこういった経験が幅を広げることにつながればいいなと思っています」
作品を通じて人の思いを知り、成長することが役者の醍醐味、と青柳。日本の伝統に込められたサムライの思いを通して、また一歩、前へ進んだようだ。
©2017「たたら侍」製作委員会
映画『たたら侍』
原作・脚本・監督:錦織良成 エグゼクティヴ・プロデューサー:EXILE HIRO 出演:青柳翔、小林直己、田畑智子、石井杏奈、高橋長英、甲本雅裕、宮崎美子、早乙女太一、豊原功補、山本圭、笹野高史、AKIRA、奈良岡朋子、津川雅彦 他/LDH PICTURES配給/5月20日より新宿バルト9、TOHOシネマズ新宿他にて公開 https://tatara-samurai.jp/https://tatara-samurai.jp/
原作・脚本・監督:錦織良成 エグゼクティヴ・プロデューサー:EXILE HIRO 出演:青柳翔、小林直己、田畑智子、石井杏奈、高橋長英、甲本雅裕、宮崎美子、早乙女太一、豊原功補、山本圭、笹野高史、AKIRA、奈良岡朋子、津川雅彦 他/LDH PICTURES配給/5月20日より新宿バルト9、TOHOシネマズ新宿他にて公開 https://tatara-samurai.jp/https://tatara-samurai.jp/